暮らしのお金

保護猫団体のサポートを受けながら野良猫の保護をした場合に、かかるお金はいくら?

野良猫に出会ったら「保護してあげたい」と思っても、1人で猫を保護して、避妊・去勢手術を受けさせ、里親探しを行うのは不安です。NPO法人「Well being」の代表である今尾さんに、もし保護猫団体のサポートを受けながら野良猫の保護をした場合に、どれくらいお金がかかるのかを教えてもらいました。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

一見、自由に生きているように見える野良猫たちですが、その生活環境は過酷です。猫好きな人が野良猫に出会ったら「保護してあげたい」と思うかもしれません。しかし、たった1人で、猫を保護して、避妊・去勢手術を受けさせ、里親探しを行うのは不安ではないでしょうか。そんなときは地域の保護猫団体に相談してみるという方法があります。

今回は、岐阜県で野良猫の保護活動を行っているNPO法人「Well being」の代表である今尾さんに、もし保護猫団体のサポートを受けながら野良猫の保護をした場合に、どれくらいお金がかかるのかを教えてもらいました。
NPO法人「Well being」に兄弟でやってきました!

NPO法人「Well being」に兄弟でやってきました!

「野良猫を助けたい」と思ったら、1人で抱え込まず保護猫団体にサポートを頼もう!

――散歩中にかわいそうな野良猫を見つけた、納屋で野良猫が子猫を生んだなど、野良猫と遭遇する機会は少なくありません。野良猫は警戒心が強いので「1人で捕獲するのは難しい……」となれば、諦めてしまうこともあります。そんなとき、保護猫団体に連絡すればサポートしてもらえるのでしょうか?

今尾さん:Well beingでは「ねこ活サポート」といって、猫ちゃんの捕獲・不妊手術・元の場所に戻すまでを行う「TNR代行」、猫を保護して里親探しのお手伝いなど、さまざまなご相談に対して、適切なサポートをしています。

――たとえば、子猫数匹を育てている母猫を捕獲するとなれば、まずは餌付けで慣れさせてから捕獲という流れですが、1人で数匹を捕獲するのは大変です。そんな場合は、どのようなサポートをされるのですか?

今尾さん:猫を捕獲するための捕獲機をレンタルするだけでよい場合もありますが、現地に駆けつけて一緒に捕獲作業を行う場合もあります。状況に合わせたサポートを行います。

――子猫を育てている母猫は気が立っていて、捕まえるのは至難の業という気がします。人慣れしていない場合でも、うまく捕まえることができますか?

今尾さん:母猫の警戒心がどの程度か?によります。ただ、子猫を育てている母猫はお腹を空かせているので、捕獲機に餌をセットして待てば、比較的スムーズに捕まえられる場合が多いです。

――個々の猫が置かれた状況を的確に判断して、スピーディーに捕獲を行うことが大切です。そのためにも、猫を見つけたら1人で抱え込むのではなく、経験豊富な保護猫団体に相談するのがよいと思います。
この環境にやっと慣れました。

この環境にやっと慣れました

野良猫の捕獲に困ったとき、「ねこ活サポート」にかかるお金はいくら?

――保護猫団体に猫の捕獲を手伝ってもらい、無事に捕まえたからといって「それで終了」にはなりません。その後、野良猫には避妊・去勢手術を受けさせなければなりません。その際にかかるさまざまなお金は、どのくらいかかるのでしょうか?

今尾さん:Well beingでは、猫の捕獲・保護の際の出張する場合の基本料金は3000円です。この中には、不妊手術手配、病院への帯同などが含まれています。別途、捕獲およびリリースの交通費往復代として2000円も必要です(岐阜市内の場合。市外は要相談)。

――猫の捕獲には、猫の状況にあった方法を取らなくてはいけませんから、手間暇がかかり、その分料金も発生するようです。さらに、猫の去勢・避妊手術などの医療費全般もそれなりの費用がかかることが予想されます。

今尾さん:捕獲器を使うときは、放置できませんから張り込みをすることになりますので、相応の料金をいただきます。その後、捕まえた猫を保護して、避妊・去勢手術を受けさせ放すという「TNR」を代行する場合は、オス猫は「約1万300円(手術・ワクチン・サクラ耳カット等)」、メス猫は「約1万1300円(手術・ワクチン・サクラ耳カット等、オス猫同様)」と「お預かり日数×お世話代1日1匹あたり500円」を負担していただきます。

つまり、1匹あたりのトータル金額は「1万5800~1万6800円」ぐらいが最低でもかかると考えておかなければなりません。

【内訳】「3000円(基本料金)+2000円(岐阜市内の交通費)+1万300~1万1300円(避妊・去勢手術等の医療費)+500円(1匹あたり1日の預かり世話代)」

手術費等の医療費には、ワクチンやサクラ耳カット代などが含まれています。

――筆者も野良猫を保護したことがありますが、その際、手術代を含めた医療費はメス猫で約2万4000円かかりました。そう考えると割安といえそうです。
早く飼い主さんが見つかるといいな。

早く飼い主さんが見つかるといいな

今尾さん:料金については、一般的にはお伝えしたとおりです。猫を見つけたら、まずはご相談いただけるとよいと思います。ただし、基本的に、Well beingは猫の引き取りを行っていない点はご理解いただきたいです。現状、保護猫ボランティアさんの協力を得ていますが、多くの保護猫を抱えた状態であり、余裕があると言い切れません。

「ねこ活サポート」のご利用を考えてくださることは良いことですが「お金を払えば問題解決できる」とは思ってほしくありません。しかし「猫の将来を良くするために自ら動く」覚悟のある方に対しては、スタッフ共々、惜しまずご協力をしたいと思っております。
Well beingに親子でやってきました!安心して過ごせてます。

Well beingに親子でやってきました! 安心して過ごせています

――Well beingの「ねこ活サポート」は、「猫は地域の大切な仲間。人と猫が共生できる将来を創りたい!」と思っている方にとって、背中を押してくれるシステムといえそうです。

なお、保護猫団体によっては、サポート範囲は個々に異なるそうです。かかる費用については、直接確認してください。

NPO法人Well beingで「ねこ活サポート」を利用した方の声を紹介

●70代の方
野良猫が我が家の裏庭に4匹の子猫を連れてきました。「これは大変!」と思い、いったんは1人で捕獲を試みました。しかし、野良猫の捕獲は簡単ではありません。途方に暮れていたところ、知人より「保護猫活動をしている人に相談してみれば?」というアドバイスを受け、「ねこ活サポート」を利用しました。無事、数匹を捕まえ、避妊・去勢を受けさせました。今は、既に里親が見つかった猫、我が家で世話する猫いろいろですが「1人で抱え込まず、相談してよかった」と思います。
2023年10月15日の保護猫譲渡会の様子。今尾さんは右手前、ベージュの洋服の方。

2023年10月15日の保護猫譲渡会の様子。今尾さんは右手前、ベージュの洋服の方

NPO法人Well being代表 今尾さんのプロフィール
過酷な環境で生きる不幸な野良猫を「増やさない」という決意で、2022年4月22日(よいにゃんにゃん)にNPO法人「Well being」を設立。2022年の猫の里親実績は約180匹、それ以前の活動を含めると累計約250匹にものぼる。「猫が幸せに、人が穏やかに共生できる街づくり」を目指し活動している。

●イベント情報
◆3月「保護猫譲渡会」のご案内◆
日時:2024年3月10日(日)11時30分~14時30分
場所:岐阜市柳津町北塚会館
住所:岐阜市柳津町北塚2丁目60-1

◆4月「保護猫譲渡会」のご案内◆
日時:2024年4月21日(日)11時30分~14時30分
場所:長良公園 軽スポーツ研修センター
住所:岐阜市長良字城之内1466-10
スタッフが多数参加しています。「ねこ活サポート」についても気軽にご相談ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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