「金利が上がったとき、株価はどう動くと考えられますか。大まかに教えてください」。
今回は、この質問にお答えします。
金利が上がると株価はどうなる? 基本的な話
金利が上がると「適正株価が下がる」と考えられます。金利が上がると適正株価が下がる理由は2つです。
第一に、金利が上がると、借り入れをしている会社は業績が悪くなります。
上場企業の多くは、銀行からお金を借りています。金利は「銀行からお金を借りるときにかかるコスト」です。金利が上がるとコストも増えますから、業績が悪くなると考えられます。
一方、銀行などお金を「貸し出す」側には逆の効果があります。さいきんでは、度重なる利上げで金利が上がり、ヨーロッパの銀行の業績が伸びています。金利が上がると、高い利息を受け取れるからです(もちろん、顧客離れが起きたり、貸し倒れが過度に増えたりしたら、業績が悪くなる場合もあります)。
とはいえ、銀行以外のほとんどの会社は業績が悪くなるでしょう。株価は業績と連動しますから、「金利が上がる→業績が悪くなる→株価が下がる」のように動きそうです。特に借り入れの多い会社ほど大打撃を受けるでしょう。
第二に、金利が上がると、ノーリスクで稼げる収入が増えます。
多くの場合、金利とは「国債金利」のことを指します。米国や日本など、自国通貨立てで国債を発行している国の場合、国債の破綻リスクは実質ノーリスクとされています。いざとなれば、自国で通貨を印刷して借金を返せばよいからです。
記事執筆時点で、米国の1年国債の金利は5%を超えています。つまり、「国債を買えば、実質ノーリスクで5%のお金を稼げる」ということです。
「ノーリスクで稼げる収入」が増えると、相対的に「リスクを取って稼げる収入」のうまみが薄れます。
たとえば、金利がゼロのときには「配当利回り4%」の株は、金利よりもたくさんの配当を受け取れるので得に見えます。
しかし、金利が5%になると、同じ「配当利回り4%」の株はもはや金利よりも収入が少なくて「リスクを取ったのに配当これだけ?」と興ざめしてしまいます。
このように、金利が上がると多くの企業の業績が悪くなるだけでなく、リスクを取るうまみまで薄れさせてしまいます。これが、「金利が上がると適正株価が下がる」理屈です。
まとめ
要点をまとめると、◯金利が上がると、借り入れをしている会社は業績が悪くなる
◯金利が上がると、ノーリスクで稼げる収入が増える
◯だから、金利が上がると適正株価が下がる
という3点に集約できます。
なお、ここでは、「株価」ではなく「適正株価」と書きました。なぜかというと、大幅に割安な株であれば、多少金利が上がったくらいでは株価が下がらないからです。
とはいえ、いままで適正株価だった株、もしくは割高だった株は、金利が上がると株価も下がると考えられます。
金利が上がっても損をしたくない方は「金利が上がったとしても割安だ!」と言える株だけを買ったり、銀行株など金利上昇が追い風になる株も買っておいたりするのがよいかもしれません。