年金・老後のお金クリニック

一人暮らしで月6万5000円の年金から天引きされるお金はいくら?【2023年度】

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、6万5000円の年金から毎月天引きされるお金について、編集部が設定したケースをもとに答えます。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

執筆者:All About 編集部

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老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、6万5000円の年金から毎月天引きされるお金について、編集部が設定したケースをもとに答えます。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:一人暮らしで月6万5000円の年金から天引きされるお金はいくら?

編集部が設定した以下のケースに専門家が回答します。

「63歳で一人暮らし。65歳以降に年金額が6万5000円ぐらいです。天引きされる税金などは、いくらになりますか?」
月6万5000円の年金から天引きされるお金とは

月6万5000円の年金から天引きされるお金とは

A:国民健康保険料(約1502円)と介護保険料(1600円)の合計約3102円が、年金から天引きされます

老齢年金を受け取ると、次の税金や社会保険料が年金から天引きされます。年額18万円以上の年金を受け取れる人が対象です。

【1】所得税・復興特別所得税
【2】住民税
【3】国民健康保険料(75歳まで)
【4】後期高齢者医療保険料(75歳以降)
【5】介護保険料

今回のケースは75歳未満なので、【1】【2】【3】【5】が天引きされる可能性があります。それぞれ算出してみます。

【1】所得税・復興特別所得税
公的年金の受給額は、課税対象(所得税)になりますが、公的年金の所得税額を計算する時は、公的年金等控除額を差し引いて計算することができます。令和5年度の公的年金等控除額は、65歳未満が60万円、65歳以上が110万円です。その他に、全員が一律で基礎控除(合計所得金額が2400万円以下の場合は48万円)を差し引いて計算します。65歳以降、月額6万5000円(年間78万円)の年金のみを受け取る場合の所得税は、以下のように計算します。

78万円-110万円(公的年金等控除額)-48万円(基礎控除額)=▲80万円……課税所得金額は0円

そのため所得税はかかりません。

【2】住民税
日本国民が負担する住民税には、一律に負担する「均等割」と、その人の所得金額に応じて負担する「所得割」があります。住民税額は、住んでいる自治体により異なります。また、自治体ごとに、住民税が課税されない一定の基準が設けられています。

東京都新宿区を例とすると、令和5年度現在、単身者、前年中の合計所得金額が45万円以下の人は住民税がかかりません。

このケースでは「月額6万5000円(年間78万円)の年金収入のみ」とのことですので、以下の計算式のとおり合計所得金額が0円になります。

78万円-110万円(公的年金等控除額)-45万円(住民税非課税限度額)=▲77万円……合計所得金額(課税所得金額)は0円

したがって、住民税はかかりません。

【3】国民健康保険料
国民健康保険料は(1)医療分(2)支援金分(3)介護分に区分され、合計した金額を支払います。これらの(1)医療分(2)支援金分(3)介護分は、均等割額と所得割額に分かれており、住んでいる自治体によって異なります。

上記と同様に、新宿区の国民健康保険料の算出方法に当てはめると、月額6万5000円(年間78万円)の年金収入ですので、上記住民税の項目で計算したとおり、課税所得額は0円になり、所得割額はかかりません。均等割額のみ負担します。

《令和5年度の均等割額》
(1)医療分4万5000円+(2)支援金分1万5100円+(3)介護分0円(世帯加入者のうち40歳~64歳の加入者が対象になるため)=6万100円

新宿区の均等割額には、世帯主と被保険者全員の、前年中の総所得金額が一定の基準以下を対象に、軽減措置が設けられています。

このケースの総所得額が、前年から変わらず同じ総所得額と仮定すると、所得額は控除額を差し引いた結果0円となりますので、7割減(第1号減)の適用を受けることができます。

●均等割額が7割減(第1号減)になる条件
前年中の所得=43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×10万円以下

よって、均等割額=6万100円×0.7=4万2070円(年額)が免除になり、国民健康保険料は6万100円-4万2070円=年額1万8030円となります。

国民健康保険料の月額:約1502円……(※a)

【5】介護保険料
介護保険料も住んでいる自治体によって異なり、新宿区在住ですと、上記で計算したとおり住民税が非課税で、年金を月額6万5000円(年間78万円)受給しますので、新宿区が設定している保険料段階の第1段階『本人の課税年金収入金額とその他の合計所得金額を合わせて、80万円以下』に該当します。したがって、計算式は以下のとおりです。

基準額(年額7万6800円)×0.25=1万9200円

介護保険料の月額:1600円……(※b)

▼月6万5000円の年金から天引きされる金額は?
したがって新宿居住と仮定すると、65歳以降、月額6万5000円の年金から天引きされるのは「国民健康保険料」と「介護保険料」となり、その金額は3102円となります。

国民健康保険料1502円(※a)+介護保険料1600円(※b)=3102円

今回の試算はあくまでも概算です。詳細は住んでいる自治体へ確認しましょう。

※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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