「家を買うべきか、借りるべきか、判断に悩みます。お金持ちだったら、どっちを選ぶのでしょうか?」
今回は、この質問に筆者のケースをお答えします。
家を買わなかった理由は2つ
筆者が結婚したばかりのとき、妻と「家を買うかどうか?」で何回ももめました(笑)。妻は「老後は家を借りられないから、若い今のうちに家を買うべきだ」と考えていましたが、僕は「将来どう転ぶか分からない今の段階から、家を買って債務を抱えるのはリスクが大きすぎる」と考えていました。
結局、我が家では今のところ「お金がないうちは賃貸にして、めいっぱい働き、できるだけ早いペースで蓄財し、資産運用する。家を買うのは、十分、お金持ちになってから」と計画しています。
うちが家を買わなかった理由は2つあります。
1つは、家を買うことは「大きなリスク」だからです。
「買った家は資産として残るが、借りた家は残らない」とも考えました。たしかに、土地に関しては資産になると言えます。しかし建物は違います。20代で家を買い、早々にローンを返せたとしても、老後に多額の修繕維持費がかかる場合もあります。
「賃貸で家賃を払うのも、同じお金で住宅ローンを返すのも同じじゃないか?」と考えたこともありました。しかし、賃貸で支払う家賃は「今月かぎりの小さな債務」にすぎませんが、持ち家で支払うローンは「これから何十年もかけて返済する大きな債務」です。
だいたいの家庭では、家を買うときには同時にローンを組み、生命保険に入ることになります。これは「生きている間は働いて返せ」「死んでしまったら生命保険で返せ」ということですから、債務という「枷」が、とても重い証拠です。
もう1つは、家を買うことにリスクを取ることで、「他のところでリスクを取る」のが厳しくなるからです。
「住宅ローンの返済を後回しにしながら株式投資をする」という手もありますが、それは「借金して株を買う」のと似たようなものです。ローンの返済を先延ばしにすれば利息も増えますから、「そんなに得か?」というと疑問が残ります。
「若いうちに家を買わないと、年を取ってからだとローンを組めないかもしれない」とも考えました。しかし、これはローンが組めないことが問題なのではなく、「年を取ってから家を買えるだけの貯金もしていない」という問題で、生活習慣の問題です。きちんと節制する自信がない人が「気合を入れるためにローンを組む」という手もありますが、うちの場合は、そのような理由でローンを組みたいとは思えませんでした。
老後に家がないと本当に暮らせない?
「老後、家がないと暮らせないかも?」という心配については、さいきんは高齢者向けの賃貸住宅もできていますから、これもまた、きちんと貯金をしていれば大丈夫でしょう。定年まで働いていれば、国民年金や厚生年金も受け取れます。確定拠出年金を使って、追加で備えることもできます。家賃が月10万円の場合、4000万円ほど貯金があれば「配当利回り4%の株式を買って、配当収入で家賃を支払う」(およその配当収入は4000万円×利回り4%×0.8(引かれる税金を考慮)=128万円/年)こともできます。
地道に貯金をして金融所得を増やしていけば、家賃の負担も年を追うごとに軽くなっていき、お金も貯めやすくなっていきます(うちも家賃くらいは金融所得で賄えそうです)。
長くなりましたが、持ち家がダメ!とか、賃貸が良い!とか、そういう二元論ではなく、個々人のライフスタイルやライフステージや身の丈に合っているかどうか、が大事だと思います。
「借金の重圧がしんどい」という方は賃貸がいいでしょうし、逆に「重圧がないと頑張れない」という人は、持家のほうがいいかもしれません。
我が家のように「お金が貯まってから買う」という選択肢もありますから、もろもろ知った上で、自分のやりたいようにするのが一番なんじゃないでしょうか。