食生活・栄養知識

Q. 「鶏ユッケ」に食中毒の危険性はないのでしょうか?

【管理栄養士が解説】「鶏ユッケ」というメニューやレシピを見かけることがあります。牛肉を生で食べるユッケのように、鶏肉に完全に火を通さずに食べる料理のようですが、カンピロバクターなどによる食中毒の危険性はないのでしょうか? わかりやすく解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

Q. 「鶏ユッケ」に食中毒の心配はないのでしょうか?

キッチンで悩む女性

「鶏ユッケ」レシピも見かけるけれど……。生の鶏肉に危険性はないのでしょうか?


近年、鶏肉に完全に火を通さずに調理する「鶏ユッケ」という料理を見かけます。一部の飲食店で提供されている他、自宅で作れるレシピとして紹介されているものもあるようです。安全性に問題はないのか、管理栄養士の視点で解説します。

Q. 「鶏ユッケ」に食中毒の心配はないのでしょうか? 鶏肉の生食と聞くと危険そうに感じますが、お店などで売られているものなら安全ですか?
 

A. 食中毒の危険があります。肉の生食はオススメできません

韓国料理で有名な「ユッケ」は、牛もも肉を生で食べる料理ですが、最近耳にする「鶏ユッケ」は、鶏のむね肉に小麦粉をまぶして軽く茹でたものを指すことが多いようです。軽く茹でる工程はあるものの、お店などでも中心部はほぼ生の状態で提供されているようです。
 
この鶏ユッケの、安全性についてのご質問ですね。

結論を言いますと、かなり心配です。
 
鶏肉は、「カンピロバクター」という食中毒菌を持っているリスクが高い食材です。カンピロバクターは加熱調理で死滅しますが、ほんの少し残っているだけでも、食中毒の症状を引き起こします。食中毒予防の観点からは、鶏肉は中心部の色が白くなるまで、しっかりと加熱することが重要です。
 
「鶏ユッケ」を商品として提供しているお店のWebサイトなどには、「表面をそぎ落とせば安心」といった記載を見かけることもありますが、これは、完全に誤り。ユッケによる集団食中毒で多数の死亡者が出た事件もあり、牛肉の生食の危険性はよく知られていると思いますが、豚肉や鶏肉も生食の危険性は同じです。生肉のままで食べることは、食のプロとしては絶対にオススメできません。

■参考 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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