それぞれの立場による理想と現実
難関を突破して大企業に入社したら安泰……のはずが、そうでないケースもある。大企業のブランド名を優先して就職を目指した結果、自分の本来の専攻とは無関係の職務に就く人が過半数を占めるという。有名大企業が人材難に陥っているというニュースを耳にすることがあるが、企業側は専門的能力のある人材が不足していると感じているようだ。 入社早々、業務に興味を感じられなくなってしまう若者が少なくないというから、こうした会社とのミスマッチは残念な事例だ。
統計庁の「経済活動人口調査(2022)」(※2)によると、10人中3人が約1年半で最初の勤務先を退職するようだ。職務に対する理想と現実の狭間で悩んだり、個人より組織優先の企業の体制になじめなかったり。会社に縛られず、余暇時間も大切だと考えるMZ世代を中心とする若者は、給与だけでなく、職場環境や労働時間などの条件もシビアな判断を下すようだ。
某有名病院で経理を担当する筆者の友人のチェさんは、若い職員たちはまだ仕事が残っていても、定時になればすぐに退勤してしまうとぼやいた。また飲食店を経営しているイさんは、若い部下を教育するのは神経が磨り減る作業だという。少し厳しく指導するとすぐに雇用労働部などに届け出ようとすると苦笑した。特にMZ世代は自分たちの世代とは違う、職場でのジェネレーションギャップは大きい、と。
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