子どもがお金持ちになるには「住む場所」が大切?
ハーバード大学のラジ・チェッティーらの研究(1)によると、貧乏を抜け出すには「住む場所」が大切だということが分かりました。同研究では、「親がお金持ちでないわりに、子どもがお金持ちになりやすい地域には、どんな特徴があるか?」を調べました。
その結果、子どもがお金持ちになりやすい地域には「家族の安定性が高い(例:ひとり親の割合が低い)」「幼稚園から高校までの学校制度が充実している」といった特徴があることが分かりました。
たとえば、家族の安定性が高い地域は、子どもがお金持ちになりやすい傾向がありました。離婚などが原因でひとり親になるなど、家族が不安定だと、子どもを養う環境が悪化しやすいのでしょう。とはいえ、これは地域の問題というよりは、家庭の問題と言えます。「子どもにお金持ちになってほしいなら、離婚せざるを得ない相手とは結婚しないことが大事」ということは分かりますが、この点を理由に、住む地域を決める必要はなさそうです。
また、教育環境に恵まれた地域の子どもほど、お金持ちになりやすい傾向がありました。教育環境は、親の努力だけではどうにもなりません。良い先生、良い学校、良い塾。そういう教育環境が充実しているかどうかは、住む場所を決めるうえで重要な判断材料と言えそうです。
子どもの学力が高い都道府県はどこ?
では、子どもの学力が高い都道府県は、いったいどこなのでしょうか?国立教育政策研究所が公表した資料(2)によると、子どもの学力が高い都道府県は表のとおりでした。
この表を見る限り、トップ5は石川県、秋田県、東京都、福井県、京都府の5都府県でした。逆に、滋賀県、島根県、奈良県、北海道、長崎県・山梨県・福島県・宮城県などは正答率は低めという結果でした。
あくまでこの表は「現時点で最新のもの(2021年)」ですから、時間とともに変わるでしょう。それでも「子どものために、よりよい都道府県はどこだろう?」を考えるうえでは、有用だと思います。
あなたが子どもに「経済的な苦労をさせたくない」のであれば、住む場所はとても大切です。住む場所を考える際は、「教育環境がどれくらい恵まれているか?」を参考にしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
(1)論文:Raj Chetty, Nathaniel Hendren, Patrick Kline, and Emmanuel Saez, 2014, “Where is the Land of Opportunity? The Geography of Intergenerational Mobility in the United States”
(2)資料:国立教育政策研究所, 2021, “令和3年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【都道府県別】(小学校、全国-実施概況)”
https://www.nier.go.jp/21chousakekkahoukoku/factsheet/prefecture-City.html
https://www.nier.go.jp/21chousakekkahoukoku/factsheet/21p_101.pdf