「蛇化現象」とは?「蛙化現象」と何が違う?
若者の間で流行っている「蛙化現象」。これはもともとグリム童話の『かえるの王様』に起源を発してはいるものの、この童話が示す「人は見かけで判断してはいけない」という意味合いとはまったく異なっている。今「蛙化」というと、“理不尽な理由で好きだった人への気持ちが冷め、むしろ嫌悪感に変わること”とされている。そして、次に出てきたのが「蛇化」である。これは12万人のフォロワーをもつクリエイター「こちゃもちゃ」カップルが4月5日にTikTokで使って広まった言葉。蛙化とは対照的に、“好きな人がかっこ悪いことをしても、蛇が何でも丸呑みするように受け入れること”だという。
若いときは、自分の理想と少しでも違うことがあると一気に情熱が冷めるのはよくある話。大人になると相手をトータルで見るため、よほど自分の根幹にあるものを貶(おとし)められたりしない限り、嫌悪感を抱くことにはならない。友人にしろ恋人にしろ、些細なことなら「受け入れてつきあっていく」ものである。
最近はマッチングアプリで知り合って「つきあっていく」男女が増えている。一目惚れだの友情から恋愛へ変わっていくだの、自分の感情に沿ったところで恋愛が生まれていくというよりは、つきあう人を条件で絞り込んでいったほうが効率がいいというわけだ。もちろん、それも一理あるし、結果、いい人に巡り会えればいい。つきあい始めても、長年の情やしがらみや、雷に打たれたように惹かれたわけではないから、ダメだと思えば別れればいい。傷が浅い恋愛なのである。だから恋愛での大失敗はしなくて済む。
「蛇化」は、そういった恋愛に疑問を持つ人たちにはピッタリくる言葉だったのかもしれない。
蛙化? 蛇化? 相手のふとした行動で自分の心が左右される
蛙化:彼を本当に嫌だと思った瞬間
とはいえ、「好きだから何でも受け入れなければいけない」わけではない。あくまでも自分の心に正直にならないと、痛手と傷が大きくなるだけだ。「自分もそれなりに人生を経てくると、これだけは許せないというものができてくるんですよね。私の場合は公衆道徳かなあ。すごく好きな人が以前、飲み物のペットボトルを座っていた駅のホームに置いていこうとしたんですよ。私が持っていかなくちゃと言ったら、『いいじゃん、ゴミ箱がないんだから』って。いや、ホームの自動販売機の脇に空のペットボトルを入れるところがあるよと言うと、めんどくさい、と。私が持っていって捨てましたが、それきり会いませんでした。そういう人が本当に嫌だから」
アミさん(30歳)はそう言う。学生時代なら、自分もまあいいかと思ったかもしれないが、社会人になってからはやはり自分勝手にゴミを捨てたりするのを見ると嫌悪感がわくようになったそうだ。
「本人自身のかっこ悪いところとかダサいところを見ても、それは愛情の目減りにはつながらない。完璧な人間なんていないから、むしろかわいいと思いますね。ただ、同じかっこ悪いでも、たとえば自分の失敗を人のせいにするようなかっこ悪さはかわいくはない。それは嫌悪感につながるかも」
何を受け入れて、何を許せないかは人による。自分なりの基準が大事になってくるのだろう。
>彼の友人の一言で目が覚める