雇用保険の給付にはどんなものがある?
雇用保険のおもな給付制度
おもな給付制度を表にまとめたので見てください。共働き家庭には育児休業給付金が役立つ
会社員の女性に広く利用されるようになってきたのが「育児休業給付金」で、出産後の育児で休業する人の生活を支える給付制度です。女性の場合、産休明けから原則、子どもが満1歳になるまで(保育園に入れないなどの理由がある場合は最長2歳まで)の育児休業期間中に給付金が受け取れます。ちなみに、産休中は健康保険から出産手当金が支払われ、その後に育児休業給付金になります。育児休業給付金の金額は最初の6カ月間は給与の約67%、それ以降は50%になります。
育児休業や給付金は、男性ももちろん対象になります。少子化対策の1つとして男性の育休取得も奨励される現在、「産後パパ育休制度」も創設されています。産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度です。
さらに、これまで育休はまとめて1回しか取得できませんでしたが、現在は男女ともに1歳までの育児休業を2回に分けて、分割で取得できるようになっています。これによって、夫と妻で育児に専念する期間を分け、夫婦交代で育休を取得するなど、柔軟に利用しやすくなりました。
介護休業を取得した人には介護休業給付金
高齢の親などの介護が必要になり、離職する人もいます。介護離職を防ぐためには、仕事と介護を両立できる介護休業制度を利用することが大事。これは介護を要する家族1人につき、通算で93日まで利用でき、この日数内なら3回まで分けて取得することもできます。介護休業の対象になる家族は、本人の父母、祖父母、配偶者、兄弟姉妹、子や孫のほか、配偶者の父母も含まれます。
介護休業中の雇用保険からの給付は、休業前の給与の67%で、休業日数分となります。給与が約30万円で、30日休業した場合は約20万円。30日以下の休業では日割りの給付金になります。ただし、介護休業中に給与が支払われる場合は調整されます。
仕事のスキルを高めるなら教育訓練給付金を利用
仕事に役立つ知識や技能を身に付けたり、資格を取得したりする際に、指定された講座を受講すれば、受講費用の一部を「教育訓練給付金」として受け取ることができます。対象となる教育訓練は、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」と3種類あり、それぞれの対象講座は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べることができます。中長期的なキャリア形成に役立つ専門実践教育訓練の場合、受講費用の50%が受講期間中6カ月ごとに支給されます(年間上限40万円)。これで資格取得などをして、訓練後1年以内に就職し、雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
3種類とも、勤続中はもちろんのこと、退職後1年以内に受講を開始した場合も利用できるので、キャリアアップのための転職・再就職などに向けて利用するのもいいでしょう。
60歳以降に給与が減少したら雇用保険の給付で一部カバー
勤務先が60歳定年でも、65歳までは継続雇用される人が増えました。しかし60歳以降は、給与が大幅に減少することもあります。60歳時点の給与と比べて、毎月の給与が75%未満に低下した場合には、雇用保険からの給付で給与の一部がカバーされます。60歳以降も同じ会社に勤務する人は「高年齢雇用継続(基本)給付金」で、60歳以降に別の会社に再就職した人は「高年齢再就職給付金」になりますが、どちらも基本の条件や給付内容は同じです。
ただし、この制度は2025年度に60歳になる人から段階的に給付水準が半減され、将来的には廃止の方向です。現在は定年の延長や廃止をする企業も増え、70歳までの雇用確保も努力義務となるなど、60歳以降も働くことは当たり前になりつつあります。それによって、この給付はなくなりますが、60歳以降も健康を維持し、これまで通りに働けば給与の水準も維持されるようになることが期待されます。
記事協力:インタープレス