<目次>
家族が認知症になったら保険の請求はどうする?「指定代理請求特約」について知っておきましょう
保険には認知症になったら一時金を受け取ることのできるもの、入院や手術をしたら給付金を受け取るものなどがあります。通常であれば、給付請求を行うのは、保障の対象となっている被保険者(あるいは保険金の受取人)です。しかし、もし、保険に入っている家族が認知症を発症してしまい意思表示ができない場合、保険金の請求手続きに手間取り、なかなか給付金が受け取れないということが起こります。そうならないためにも、家族が契約している保険に「指定代理請求特約」がついているか確認しておきましょう。
今回は、「指定代理請求特約」についてくわしく説明します。
「指定代理請求特約」とは? 保険の保障対象となる人の代わりに保険の請求ができる
「指定代理請求特約」とは、保険を契約する際につけられる特約のひとつです。保険の保障対象となる人(被保険者)が「特別な事情」で給付金・保険金を請求できないときに、あらかじめ指定されていた人(指定代理請求人)が、被保険者に代わって給付金や保険金を請求することができます。被保険者が保険請求できない「特別な事情」(ある生命保険会社の例)とは、以下のような状態をいいます。
(1)傷害または疾病により、保険金等を請求する意思表示ができないとき
(2)治療上の都合により、傷病名または余命の告知を受けていないとき
(3)その他(1)または(2)に準じた状態であるとき
保険契約をした場合の一時金や給付金の請求は、基本的には被保険者側から保険会社に「傷病で入院した」「認知症を発症した」などの連絡してはじめて、請求手続きの受付が行われます。
しかし、認知症を含む病気やケガなどで寝たきり状態となった場合、または「がん」などの病気にかかっていることを本人が知らない場合、被保険者は給付金を請求することができません。そんなときは、誰かが被保険者に代わって、給付金を請求する必要があります。
指定代理請求特約をつけておけば、あらかじめ指定されていた人が代理で給付金を請求できるのです。
指定代理請求できる保険金・給付金・一時金と加入の仕方とは?
指定代理請求できるのは、被保険者が受取人になっている保険金や給付金、一時金などです。一般的には、医療保険(入院給付金や手術給付金)、がん・脳卒中・心筋梗塞になったときに受け取れる一時金、介護保険金・介護年金などがあります。他にも、被保険者と受取人が同一人の場合の満期保険金や年金などでも代理請求できます。
生命保険会社ごとに異なる場合もあるため、指定代理請求特約の加入方法などの詳細については、直接、保険会社に問い合わせるとよいでしょう。
指定代理請求特約の特約保険料は、かかりません。指定代理請求特約は、契約時に指定することができますが、契約途中であれば、被保険者の同意が得られる場合は、指定代理請求人の指定や変更が可能です。
指定代理請求人には誰がなれるの?
指定代理請求人に指定できるのは、生命保険会社によって異なります。一般的には、以下の人々です。・被保険者の戸籍上の配偶者
・被保険者の直系血族、兄弟姉妹
・被保険者と同居または生計を一にしている被保険者の3親等内の親族
親族となる場合が多いですが、生命保険会社によっては「同居または同一生計の方」「財産管理を行っている人」など、親族でなくてもよい場合もあります。
もし、指定代理請求特約をつけてなかったら?
もし、保険金の請求を行いたい場合に、被保険者(あるいは受取人)がおらず、指定代理請求人を指定していない場合は、法定相続人等が代わりに請求を行うことになります。その場合、多くの場合、通常の給付請求書類とは別に以下の書類を準備して手続きを行います。
《法定相続人等による代理請求に必要な手続き》
・他の法定相続人が請求に同意する旨の書類への署名と押印
・戸籍抄本等の提出
保険の給付金請求などは、そうたびたびあるものではありません。通常の手続きだけでも、慣れない場合は面倒です。指定代理請求特約をつけてなければ、さらに余分な書類を取り寄せなければならず、労力と経費がかかります。
手間を省くためにも、家族が契約する保険に指定代理請求特約がついているかどうかを確認しておきましょう。