共済では、支払った掛金の一部が毎年「割戻金(わりもどしきん)」として還元される
共済と保険では、運営団体、監督官庁、用語、取り扱う商品の数、加入対象者などで異なる部分が多いですが、互いにお金を出し合い、万が一の病気やケガ、死亡などの保障が確保できるしくみは同じといえます。しかし共済には、支払った掛金の一部が毎年「割戻金(わりもどしきん)」として還元されるという特徴があり、大きな魅力と捉える方もいます。
今回は、共済に割戻金がある理由や、実際の割戻金の額、割戻率(わりもどしりつ)などを解説します。
共済に割戻金がある理由とは?
共済を取り扱っている主な運営団体は、「都道府県民共済(全国共済)」「全労済」「コープ共済」「JA共済」の4つがあります。これらの共済組合や協同組合は、民間の保険会社のように営利を目的としていません。つまり非営利組織であるため、毎年、それぞれの事業年度末に、加入者(組合員)が納めた掛金と共済金の支払いや運営経費などを決算で精算して、余ったお金(剰余金)を「割戻金」として加入者(組合員)に還付します。
この共済の割戻金はどのくらいあるのでしょうか。次項より「都道府県民共済(全国共済)」を例に確認してみましょう。
都道府県民共済(全国共済)の2021(令和3)年度の割戻金をチェック
都道府県民共済(全国共済)には、生命共済、火災共済などがありますが、今回は、生命共済の割戻金を保障内容とあわせて紹介します。都道府県民共済(全国共済)の2021(令和3)年度の割戻金実績は以下となります。
《こども型》
入院・通院・手術・障害・死亡など幅広く保障。申し込みは0~満17歳までの健康な方が対象。
「こども1型(月掛金1000円)」の場合、年間支払金額1万2000円のうち1666円が割戻金として還付となりました。割戻率は13.89%です。
《総合保障型》
入院・通院・手術・障害・死亡など幅広く保障。申し込みは満18~満64歳までの健康な方が対象。
「神奈川県民共済・総合保障2型(月掛金2000円)」の場合、年間支払金額2万4000円のうち7934円が割戻金として還付となりました。割戻率は約33.06%です。
《熟年型・熟年入院型》
入院・通院・手術・障害・死亡など幅広く保障。申し込みは満65~満69歳までの健康な方が対象。保障は満85歳になるまでありますが、年齢に応じて保障内容が変わります。
「熟年2型(月掛金2000円)」の場合、年間支払金額2万4000円のうち6830円が割戻金として還付となりました。割戻率は約28.46%です。
なお、こども型や熟年型・熟年入院型の割戻率は全国一律ですが、総合保障型は、各都道府県で違いがあります。
参照:全国共済(県民共済グループ)
都道府県民共済(全国共済)の決算時期は3月です。割戻金の金額と割戻率についての案内は、6月下旬から7月に行われ、割戻金は自動的に8月に口座に振り込まれます。
まとめ
今回は、共済を取り扱っている主な運営団体4つのうち、「都道府県民共済(全国共済)」について紹介しました。割戻率が約13~33%と高く、家計の節約を考えるときは、有力な選択肢となるでしょう。しかし、共済は、入院・通院・手術・障害・死亡などの幅広い保障が割安にパッケージ化された商品のため、共済だけでは「万が一の死亡保障が少ない」「がんの一時金が少ない」というように、必要な保障が不足するかもしれません。
自分自身に必要な保障を考えた上で、共済に加入した方がいいのかを検討するようにしましょう。