ChatGPTの登場で思考する人と考えない人が二極化する?
ChatGPTの登場に端を発し、タスクを自動生成してくれるAutoGPTなどさまざまなAIツールが開発され、法律専門やプログラミング専門といった派生型AIも続々登場しています。また、ChatGPTで作った台本でTikTok100万再生超えを連発するティックトッカーがすでにいるそうですし、ポイ活でのユーザーレビューや懸賞論文などでも使われています。AIの登場で格差が広がる?
そしてこうしたAIツールの普及によって人間の仕事がなくなるのでは、と心配をする人もいるようです。
技術の進化は確かに人間の生活を快適にさせてくれるものではありますが、一方で人間の仕事を奪うとか格差を拡大させるという側面が同時に起こることは免れません。
なぜなら、AIを使いこなす人がいる一方、AIに丸投げして思考をサボる人が出てくるからです。
たとえばネット上には間違った情報もたくさんあふれていますが、それらを学習するAIによってフェイクニュースが量産されるリスクもあります。
むろん性能アップや進化によって改善していくと思いますが、やはり間違いは避けられない。
AIによって出された何らかの回答を鵜呑みにするのは危険です。しかもChatGPTは論理的でそれらしい回答を出してくるので、やはりファクトチェックは重要性です。
教育現場でも、ChatGPTで出てきた文章をそのまま課題レポートや論文にして「楽勝~!」などとしてしまう学生がいる一方で、ChatGPTの文章は単なる土台・粗い枠組みに過ぎず、それをベースに本当に重要な論点・視点は自分の頭でしっかり考えて書く学生とは差がつく、というのはわかりやすいと思います。
つまりChatGPTなどAIツールの活用で浮いた時間を、もっと重要なタスクの検討に振り向けることができるかどうかという問題です。
しかしそうするには、ChatGPTに丸投げで十分なタスク、一部はChatGPTを活用しても、それを自らブラッシュアップすべきタスク、そしてChatGPTには任せられないより上位のタスクを峻別できる高い知性が求められるわけです。
たとえばマイクロソフトはオフィス製品にこのAIを組み込む予定で、パワポ資料の作り方も変わりそうです。
しかしこれもやはり、ラクだと安易に流される人と、コンテンツ(伝えるべきメッセージ)にエネルギーを注げる人とに二極化しそうです。
前者は「チャチャッと作って、はい、できあがり」で終わる人。
後者は「体裁作りで浮いた時間を使って、内容のブラッシュアップに集中できるな」という人でしょうか。
これはAIの活用といった話だけではなく、普段の仕事であっても「手を抜いていい仕事」「力を入れるところだけがんばればいい仕事」「全力で脳に汗をかくべき仕事」を区別して時間やエネルギーの配分をすると思いますが、それと同じ。
つまり日常、効率的に仕事をしているかどうかは、AIを利用する場合でも出やすいのではないでしょうか。
たとえば過去に若者(に限らずかもですが)の文章読解力が落ちているというニュースがありましたが、おそらくSNSやチャットアプリなどで短い文章・論理性が求められない文章しかやりとりしないからではないかと思います。
テクノロジーは便利ですが、便利であるがゆえに思考する人と知的にサボる人が二極化し、それが格差をより拡大させるのだろうと思います。
同様の理屈で、AIに仕事を奪われるという議論が出るわけですが、そうなるのは知的に怠惰な人だけ。
思考力さえつければ、むしろAIには付加価値の小さい仕事を任せ、自分はより重要な仕事に専念できるという側面があります。