「最近、物価が上がっていて、これからの生活が心配です。いままで貯金だけしかしてこなかったのですが、インフレで損しないために、なにか新しく始めたほうがよいことはありますか?」
今回は、この質問にお答えします。
そもそも、インフレとは何?
そもそも「インフレって何?」と思っている方もいるでしょう。まずは、ここから説明します。インフレとは、「貨幣の価値が薄れて、物価が上がる」ことです。
インフレ対策、何がある?
吉野家の牛丼は、1990年には400円でした。この値段は、2021年までほとんど変わりませんでした。2023年5月現在。吉野家の牛丼はいまも約450円(消費税込)で食べられます。30年間で、たったの50円しか上がっていません。
一方、アメリカの場合はどうでしょう。アメリカのビッグマックは、1990年まで2.5ドルくらいでした。それが、2022年には5ドルくらいにまで上がっています。30年間で2倍くらいになりました。
日本の物価が上がらなかった理由はさまざま考えられます。具体例を挙げると、海外からモノを安く輸入するからとか、景気が良くないからとか、そういった理由です。
しかし、バブル崩壊前まで、日本でも物価は上がっていました。吉野家の牛丼も、1965年までは120円でしたが、1990年には400円になりました。25年で価格は「2倍以上」になっていたのです。さいきんまで日本は「インフレとは無縁」でしたが、インフレが再燃したら、吉野家の牛丼並盛が1000円になってもおかしくありません。
貯金=ノーリスク、ではない
バブル崩壊から約30年、物価が上がらなかった日本では、資産形成をする際にも、長い間、「貯金=ノーリスク」と考えられてきました。スーパーへ行っても、野菜の値段はいつも同じ。卵はずっと安いまま。それだったら、わざわざ投資をしてリスクを取らなくても、「貯金をしていれば安心」となるのも当然です。
しかし、昨今のように物価が上がると話は別です。貯金だって安全ではありません。スーパーへ立ち寄ると、「あれ? また野菜の値段が上がった?」「卵がまた高くなった」といったことが増えます。
これは筆者の見解ですが、日本人がアメリカ人よりも投資に「無関心」なのは、長い間、物価が上がらなかったからです。貯金のリスクがかなり低いから、わざわざリスクのあるものに投資する必要がなかったからです。
しかし、中国やロシアとの関係が悪くなってきているいま、「海外製の安いものを買っているから、物価が上がらない」という前提が崩れ始めています。
貯金にもリスクがあります。いままでは、物価が上がらなかったため、そのリスクが「見えにくかった」だけです。物価が上がっている今、投資に関心を持つ必要があるのではないでしょうか?
インフレで一番損をする人とは?
先ほども書いたとおり、インフレとは「貨幣の価値が下がり、物価が上がること」です。だから、インフレが起きると、貯金をしている人が一番損をします。たとえば、あなたが1000万円貯金しているとしましょう。この貯金を現金のまま眠らせるのは、インフレ時代ではすごく危険です。歴史を振り返ると、30年もすれば物価は2倍になります。30年後、いまある貯金1000万円の価値は、半分に減ってしまうのです。
インフレで得をする方法は?株主、投資家も得をしやすい?
逆に、インフレで一番得をする人は誰でしょうか?第一は、貨幣の代わりにモノを持つ人です。たとえば、筆者は2021年末から純金を持っています。純金は貨幣ではなく「モノ」です。物価の高騰とともに、純金の取引価格はみるみる上がり、1年半で20%ほど値上がりしました。
第二は、モノを売る人です。インフレでは物価が上がります。物価が上がると、モノを売っている人の収入も増えます。だから、経営者や、企業のオーナー(株主、投資家)は、インフレが来ると得をしやすいです。
まとめ
まとめると「インフレが当たり前になった世界では、貯金はもはや時代遅れ」「貨幣の価値はみるみる薄れるから、蓄える現金は必要最低限に抑え、残りはインフレにも耐えられる資産に分散することを検討すべき」といえます。筆者自身、現金は「資産の3割」くらいにとどめており、残りはすべて株式や純金など、インフレに強い資産に充てています。物価が上がるほど、現金で貯金をしている人は損をします。お金を失ってしまう前に、いまのうちに対策を考えておくのがよいでしょう。