2023年3月に厚生労働省から発表された「令和4年賃金構造基本統計調査」には、新卒で就職した人の、いわゆる初任給に関する調査もあるので、そこから紹介します。
高学歴になるほど、初年度の賃金は高くなる
図1は学歴別に調べた新規学卒者の1カ月の賃金をグラフにしたものです。高校を卒業した人の平均賃金が一番低く、月18万1200円です。次に高専・短大、専門学校と続き、大学卒業者は22万8500円。一番高いのが大学院を卒業した人で26万7900円です。当前の結果かもしれませんが、学歴が高くなるにつれて、入社時の賃金は高くなる傾向があります。産業別の1位は「学術研究、専門・技術サービス業」
会社を産業別に分類した場合の「所定内給与額」(時間外手当などを除いた給与)について、金額の高い順に並べたのが図2のグラフです。「所定内給与額」が一番高いのが、「学術研究、専門・技術サービス」で24万300円です。
この業種には、法律事務所や税理士事務所、経営コンサルタント業、デザインなどの「専門サービス業」と、建築設計、測量、機械設計、獣医などの「技術サービス業」などが含まれます。専門性が高い業種のため、給与が高くなっていると思われます。
2番目に高いのが、「不動産業、物品賃貸業」の23万700円。
文字通り、不動産売買や賃貸、管理などの「不動産業」と、産業用や事務用の機械器具、自動車、スポーツ・娯楽用品などの物品を賃貸する「物品賃貸業」、いわゆるリース業などになります。
3位は情報通信業で、以下はグラフのとおり。一番低いのは「複合サービス業」の19万2700円。「複合サービス業」とは、郵便局や、農業、漁業などの協同組合です。
一番高い産業と、一番低い産業の差は、4万7600円。同じ新規学卒者でも、業種によってこれだけの差があります。
都道府県別の1位は東京で、最下位は山形県
都道府県別の「所定内給与額」の結果もあり、上位5つ、下位5つをまとめてみました。一番高いのは東京の23万7700円で、続いて神奈川、千葉と関東圏が占め、4位と5位は京都、大阪の関西圏。都市部の都府県が上位にランクインしています。
一方、下位については、ワースト1位が山形県で18万2600円。続いて、福島、秋田、岩手と東北地方が続き、いずれも18万円台です。ワースト5位は島根の19万1400円となっています。地方で人口が比較的少なく、大手企業も少ない県が下位にあるようです。
新卒の人だけでなく、数年前に入社した人も自分と比べてどうでしたか?
給与の高い業界や都道府県もあり、うらやましいと思った人もいるでしょう。しかし、新卒時の給与がずっと続くわけではありません。ここからどう頑張るかは本人次第のことも。来年度の初任給は大幅増を予定している企業もあるので、就職活動中の人も注目してはいかがでしょう。
記事協力:インタープレス