健康保険の保険証にも種類がいろいろあるように思いますが……
会社員の健康保険は大きく分けて2種類ある
現在の健康保険の主な種類は図表にまとめたので、それぞれ具体的に説明していきます。 会社員は勤務先の健康保険に加入しますが、加入先としては、健康保険組合(組合健保)か、協会けんぽ(全国健康保険協会)のどちらかになります。健康保険組合は、大企業やグループ企業などで運営している健康保険で、業界団体ごとに独自の健康保険組合がある場合もあります。組合健保はそれぞれで保険料率を決めており、組合によっては、高額療養費の上限を低く設定し、出産手当金などに付加給付を付けるなど、比較的保障が手厚いのが特徴です。
一方、組合健保のない会社で、主に中小企業の従業員などが加入しているのが、協会けんぽ(全国健康保険協会)の健康保険です。協会けんぽは都道府県ごとに支部があり、会社(本社)の所在地がある都道府県の支部に加入しています。
保険料率も支部ごとに若干異なり、その保険料は会社と折半して給与や賞与から天引きされます。これは、前述の組合健保も原則として同じです。ただし、協会けんぽには、組合健保のような独自の付加給付はありません。
2つの健康保険は、配偶者や子どもなど、一定の条件に合う家族は、被扶養者として同じ健康保険に加入することができ、被扶養者の保険料負担はありません。
公務員は共済組合に加入する
国家公務員や地方公務員、公立学校、私立学校の教職員は、共済組合になります。団体ごとの共済組合があり、そこで働く人は組合員として、その家族は被扶養者として、同じ共済組合に加入し、健康保険と同様の保健給付など(短期給付)を得ることができます。保険料は掛金といい、団体ごとの掛金率を使って算出されます。それぞれ独自の付加給付があることが多く、毎月の掛金は割安で、給付も手厚くなっています。
自営業者などは国民健康保険に加入
上記の健康保険に加入していない人は、国民健康保険(国保)に加入します。国保には、市区町村で運営するものと、業種別に運営しているものがありますが、一般的なのは前者の居住地の市区町村で加入する国民健康保険です。国保は、図にあるように自営業者のほか、フリーランスや学生、退職して無職になった人など、他の健康保険に加入していない人が対象で、74歳まで加入できます。
国民健康保険の保険料は、加入する組合(自治体)ごとに計算方法が決められていますが、主に加入者の前年の所得や世帯人数などによって算出されます。世帯主のほか、他の健康保険に入っていない配偶者や子どもがいれば、同様に国民健康保険に加入し、その分も保険料に反映されます。
国保の場合、保険料は口座からの自動振替か納付書で納めますが、世帯主に保険料の納税義務があるため、世帯主が勤務先の健康保険に加入している場合でも、妻や子が国保の加入者であれば、世帯主宛てに納付書や保険料のお知らせが届きます。
そのほかに、船員保険といって、船舶に乗り込む船長や乗組員などが加入する健康保険もあります。
なお、75歳になったら全員、それまでの健康保険から後期高齢者医療制度に切り替わります。後期高齢者医療制度は都道府県ごとに運営していて、保険料率もそれぞれ異なります。保険料は、加入者が均等に負担する均等割と前年の所得に応じて負担する所得割の合計で、原則として公的年金から差し引かれます。
健康保険証は一人1枚ずつ配布され、身分証明としても使われています。現在はマイナンバーカードが健康保険証の代わりに医療機関で利用できるようになりましたが、完全に切り替わるまでには時間がかかるため、失くさないように気を付けましょう。
記事協力:インタープレス