何年「別居」したら離婚が認められるのでしょう
別居から離婚にいたった相談例
相談に訪れたAさんは、結婚12年目を迎える40代の男性でした。「妻とは結婚当初から喧嘩が多く、一緒に暮らしてみると『価値観が合わないな』と感じることも少なくありませんでした。コロナ禍になり、仕事の関係上もあって『夫婦間であっても感染するわけにはいかないから』と別居生活をはじめました。以来、それぞれ独立した生活を送って3年目になります。自分たち夫婦には子どももいません。最近になって、仕事で知り合った女性と『これからの人生を一緒に送りたい』と考えるようになりました。身勝手なことだとは思いますが、妻と離婚してこの女性と結婚することは可能でしょうか」
……といった内容の相談でした。
別居には、離婚を前提としたものと夫婦関係を修復するためのものの2種類があります。Aさんのケースは、コロナという理由を掲げていたにしても、その前から冷え切っていた夫婦関係を考えると、離婚を前提とした別居だということがわかります。しかも、別居中にAさんに妻以外の好きな人ができてしまったのは問題です。
実際、法律では「別居何年以上なら離婚を認めます」と、きっちり決まっているわけではありません。別居期間はもちろん、不仲になった理由や結婚生活でのさまざまな事情など、それぞれの夫婦の事情を考慮したのちに判断するものだからです。
ただ、私が今まで見てきた例でいえば、別居期間は5年程度あって、婚姻を継続しがたい重大な事由があると判断されれば、離婚が認められる傾向があるようです。なので、Aさんの場合も同様に「5年別居生活を続けていれば、離婚は認められるかもしれない」ということになるでしょう。
だとするならば、今回の岸部さんの「10年以上の別居期間」も、年数としては十分、離婚が認められるといえそうです。
修復したい場合の「別居」に3つのポイント
ところで、もしも夫婦関係を修復するために別居をする場合、元サヤに収まるためのポイントがあるのを知っていますか? 具体的には次の3つです。ポイント1.別居先は自宅から「近い場所」に設定する
ポイント2.別居する「期間」は、あらかじめ決めておく
ポイント3.別居中も「連絡」をとってコミュニケーションを絶やさない
つまり、別居をしていても「私にはあなたが必要です」という意思を伝え続けておく必要があり、それをすることで夫婦関係を完全に途切れさせない効果が見込める、ということになるのです。別居という選択も、自分が幸せになるためのプロセスのひとつだと思えるように、慎重に行動に移しましょう。