革バッグのイメージを変える軽くてカジュアルなショルダーバッグ
トライオン「PS105」1万8700円(税込)。サイズはW300×H180×D80mm、約380g。素材は牛革とナイロン。カラーは写真のBlack × GrayとDarkGray × Orangeの2色に、限定販売のNavy × Ivoryがある。
まず、目を惹くのは独特な格子柄のようなデザインでしょう。元々、トライオンというメーカーは、パネル状に切った革をパッチワークのように繋ぎ合わせた「パネルレザー」を使ったバッグを得意としてきました。これは、トライオンが野球グローブの大手メーカーで、グローブ製作時に出る端材の再利用を考えたところから生まれたアイデアでした。
こちらは、筆者愛用のパネルレザーのバッグ「PANELシリーズ 2WAYショルダー マルチカラー」(1万9800円)。野球用のグローブ製作に使った革の端材を加工しているので、ひとつひとつ、革の配色が違っているのも魅力になっている。
野球用グローブとアイスホッケー用グローブのコラボレーション
そのパネルレザーを使ったシリーズの新作を考えている過程で生まれたのが、今回紹介する「PS105」などの「パネルライト」シリーズです。グラブレザーと異素材の組み合わせをいろいろと考えていた時に、トライオンならではの組み合わせとして浮上したのが、アイスホッケー用のグローブに使われているナイロン素材でした。2005年からアイスホッケー用のグローブも製作していたトライオンだからできた、野球とアイスホッケーのコラボ製品というのは、ストーリーもありますね。ただ、ナイロン生地をメインに使うと、革バッグメーカーのイメージからは外れてしまいます。そこで、ナイロン生地の上に、パネルレザーを配置し、ナイロン生地が見えるように、パネルレザーを3mm間隔で並べるデザインにしたのだそうです。そうすることで、革の色とナイロン生地の色の組み合わせでカラーバリエーションを作ることもできるし、カジュアルで軽快なイメージにすることにも成功しています。 アイスホッケー用のグローブの素材は、競技の激しい動きにも対応する軽さと耐久性が特徴。さらに通気性にも優れていて発色も良いとバッグにうってつけの素材です。そこに、ラフな使い方にも対応する野球用グローブの革の高い耐久性としなやかさが加わってできたのが、このバッグというわけです。
革にはしなやかさを損なわずに型崩れしにくいハリ感を持たせる加工と、傷付きにくく、汚れにくくするためのコーティングを施してあります。どちらの素材も、グローブの端材を加工しているわけで、かなりアップサイクルな製品といえるでしょう。
折りたためる高い実用性とスタイリッシュなデザイン
この「パネルライト」のシリーズは、革と革の間の隙間は柔らかいナイロン生地なので、折たたみが可能なのです。そのため、収納時にも場所を取らず、旅行時にはスーツケースなどに入れて、旅先で使うバッグとして活用することもできます。・軽くて収納力も◎ 見た目的には、そのほとんどが革なのですが、隙間を空けて配置されていることと、革はナイロン生地の上に縫い付けられているため薄くなっており、その結果、革バッグにもかかわらず約380gという軽さを実現しています。
その軽さのおかげで、筆者は、このバッグに水筒とメモ帳、カメラを入れて、ライブハウスなどに出かけています。マチ幅もあるのでミラーレス一眼に小型のズームレンズを付けたカメラなら楽に入れられるのです(筆者は平気でカメラを入れていますが、保護するクッションなどは無いので、カメラを入れる場合は自己責任でお願いします)。ナイロン生地に伸縮性があるので、ちょっと無理に詰め込めるのも実用性が高いところ。 カラーバリエーションも黒のレザーにグレーのナイロンを合わせた「Black × Gray」、ダークグレーの革にオレンジのナイロンを合わせた「DarkGray × Orange」、それに限定色の濃いネイビーの革にアイボリーのナイロンを合わせた「Navy × Ivory」と、かなり印象の違う3色がそろいます。 他に、同じ「パネルライト」シリーズの新作として。軽量のバックパックや横型のトートバッグなどもラインナップされています。
筆者は個人的に、この軽さとラフに使える気軽さが気に入って、散歩や、カフェなどで考え事をする時、ライブや美術展などに向かう際に便利なショルダーバッグを愛用しています。この素材感や雰囲気は、他のバッグでは見られないオリジナリティーのある製品なので、用途に合わせていろいろ使い分けるのもいいのではないかと思います。