傷病手当金の支給は最長で通算1年6カ月
会社員は健康保険に加入していますが、病気やケガで仕事を休んで給与がもらえないときは、加入している健康保険から傷病手当金がもらえます。傷病手当金を受け取ることで、安心して療養に専念できます。まず、傷病手当金をもらうときは、以下の4つの条件をすべて満たすことが必要です。
(1)仕事と関係ない病気やケガの療養のための休業である(業務災害や通勤途中のケガは労災保険の対象になる)
(2)それまで就いていた仕事に就くことができない
(3)4日以上仕事に就けない
(4)休んだ期間について給与の支払いがない(給与の一部が出る場合は、差額を支給)
このうち(3)の「4日以上仕事に就けない」という状態や、支給期間の考え方について、画像の図をもとに解説していきます。
●1:傷病手当金が支給される基本パターン 傷病手当金は、病気やケガが原因で会社を休んだ日が連続して3日間続くことが条件で、休業4日目から支給されます。連続した3日間の休みを待期期間といい、この3日間は欠勤や有給休暇のほか、土日祝日などの公休を含めることができます。
ただし、仮に2日続けて休んで、3日目に出勤した場合は条件を満たさないため、もう一度、3日連続して休業し4日以上休まなければ傷病手当金はもらえません。
傷病手当金が支給される期間は、同一の病気やケガの場合、支給開始日から最長1年6カ月です。
●2:途中で出勤した場合の支給期間の考え方 法改正で2022年1月からは、傷病手当金の支給途中に出勤した日がある場合は、その出勤日を支給期間に含めないことになりました。つまり、同じ病気やケガで仕事を休業している場合、出勤日を除いた通算の休業日数で1年6カ月分が支給されることになり、人によっては補償される期間が長くなります。
●3:一度傷病手当金の支給を受けた後、別の病気・ケガで会社を休んだ場合の考え方 傷病手当金の支給を受けて、いったん仕事に復帰した後、異なる病気やケガで再度休業する場合は、たとえそれが1年6カ月以内であっても、最初の休業と合わせた通算日数で支給を受けることはできません。その場合は、改めて3日間の待期期間を経て、4日目以降の休業から新たに傷病手当金の申請をすることが必要です。
傷病手当金はいくらもらえる?
傷病手当金の1日当たりの支給金額(日額)は、下の計算式で求めます。<支給開始日以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)>
※健康保険の加入期間が12カ月に満たない場合は、別の計算式で求めます。
上記の計算式で求めた日額に、支給期間(日数)を掛けた金額が支給総額になります。
概算になりますが、それまでの平均給与の約66%がもらえることになり、休業中に1カ月単位で申請できるため、生活を支える資金になります。ただし、数日など短期間の休業なら有給を取得する選択肢もあるので、状況に応じて申請しましょう。
休業中も会社から給与がもらえる場合、その金額が傷病手当金より多ければ、傷病手当金は支給されません。給与の支払いがあっても、その金額が傷病手当金よりも少ない場合は、給与との差額がもらえます。
傷病手当金の対象になる場合は、加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に医師の診断書などを添えて申請が必要です。勤務先の健康保険の窓口(担当者)に申し出て、勤務先を通して手続きを行います。