これは、2023年1月20日~2月11日に開催された第111回入札誌「銀座」の落札結果です。一体なぜこんな高額の取引となったのでしょうか? そこには、エラーコインであること、発行枚数が少ない特年であったこと、完全未使用レベルであったこと、この3点が絡んでいます。
「特年」で「エラー」、「完全未使用」は大珍品
今回の入札誌「銀座」でひそかに注目していたのが、Lot番号560の昭和62年50円玉です。実はこの昭和62年の50円玉、お財布の中身を確認してもまず見つかることはありません。なぜならば、昭和62年の50円玉は一般には流通していないからです。昭和62年の50円玉は、およそ77万5000枚発行されています。十分発行枚数は多いじゃないか、と思われるかと思います。しかしながら、実はこれ、ミントセット用(ケースにいれてセット販売される貨幣)か、プルーフ貨幣セット用(特殊な技術で表面に光沢を持たせ、模様を鮮明に浮き出させた貨幣のセット)のみに発行されたものであり、流通分としてはゼロなのです。
昭和63年は1億枚以上発行されていることを鑑みると、そもそも発行枚数が極端に少ないことも分かります。そのため、昭和62年の50円玉は特年として取り扱われ、そもそも価値の高い50円玉としてマニアの中では認識されています。
115万円に大化けしたコイン(画像:第111回入札誌「銀座」Lot番号:560 50円白銅貨 昭和62年 特年 穴ズレエラー PCGS(MS66)(銀座コインオークション)より)
さらに言うと、今回の出品物は、主要コイン鑑定会社の1つである、PCGSによりMS66の評価が付いています。評価数字は70段階であり、70が完璧な完全未使用コイン、その次が69、68と続きます。今回のコインは66という完全未使用評価のもの。古いコインになればなるほど、経年劣化等により数字の高いコインは減っていきます。
昭和62年の50円玉であり、30年以上経過している中でこれだけの高評価を得ている点は大変評価できると思います。流通しておらず、貨幣セットの中に入っていたのが救いだったのではないでしょうか。そのため、高評価となったと考えられます。
このように、特年・エラー・完全未使用という複数の要素から115万円に化けたと考えられます。現行貨幣でもこのような大珍品があるのです。
お宝「エラーコイン」は身近にある?
さすがにこれだけの珍品はなかなか見つからないかもしれません。とはいえ、穴ズレであったり、特年であったりというコインは探せば出てくる可能性があります。財布の中にひょっとしたらあるかもしれません。また、収集していたコインの中に、穴ズレなどのエラーコインがあるという方は、鑑定に出すと価値が上がるかもしれません。宝くじのような話にはなるものの、誰にでも可能性のあるエラーコイン探し。毎日気にしながら貨幣を確認してみてはいかがでしょうか。
<参考>
第111回入札誌「銀座」Lot番号:560 50円白銅貨 昭和62年 特年 穴ズレエラー PCGS(MS66)(銀座コインオークション)