参加メーカーも入場者も増えた2023年春の見本市
2023年2月15~17日、東京都内では雑貨やインテリア、生活用品などの大規模な展示会が数多く行われました。業界的には「ギフトショー・ウィーク」と呼ばれていた展示会ラッシュが、久しぶりに活気を取り戻した感じでした。今回は、それらの中で、MONTAGE(以下、モンタージュ)、大日本市、EXTRA PREVIEW、ギフトショー(LIFE×DESIGNなどの併設展も含む)を回って、2023年上半期の注目すべき家電、ゲーム、インテリア雑貨をピックアップしました。
デザインセンスと機能が高次元で融合した「オーディオ」と「空気清浄機」
ギフトショーでいきなり目に留まったのは、3年前、ドイツの世界最大級の消費財見本市である「アンビエンテ」に取材に行った際に気に入った、KREAFUNKの「aGO II fabric」(7700円)。コンパクトなBluetoothのスピーカーですが、質感を大事にしたデザインと、しっかりと鳴る太い音が魅力です。2個使えばステレオスピーカーにもなります。・コンパクトサイズの「aGO mini」もおすすめ さらに、新製品として、コンパクトな「aGO mini」(4400円)も展示されていました。これが、手のひらに握り込めるくらいの小ささなのに、そのサイズを感じさせないパワフルでクリアな音が鳴ります。このサイズなら、2個持ち歩いて、外でステレオで聴く気にもなります。
・今年大ブームになるかもしれないイギリス製の空気清浄機 「aGO」シリーズと同じ、MODERNITYが輸入代理店になっている製品で、「briiv」(6万9850円)は、もしかしたら今年大ブームになるかもしれないイギリス製の空気清浄機です。
見た感じは、プランターにしか見えないし、実際、知り合いのバイヤーさんは、プランターだと思って見逃したそうですが、簡単に言うと、苔を加工したものをはじめ、100%生分解性素材で作られたフィルターを使った空気清浄機なのです。 すごいのは、机の上に乗るコンパクトなサイズで、しかもUSB 5Vの電源で動く省電力設計なのに、1台で約20畳の部屋に対応すること。観葉植物3043個と同じ空気清浄能力があるのだそうです。
実際に使ったわけではないので、その効果のほどは定かではありませんが、データ通りなら、相当すごい性能です。とても未来を感じさせてくれる製品ですね。
従来からある製品を“技術”と“デザイン”でリニューアルする
不思議なデザインといえば、ギフトショーで展示されていた有田焼のメーカー大慶の新ブランド、Naturectの「Stone」(6380円)です。見ただけだと、何なのかさっぱり分かりませんが、これ、セラミックのランプシェード的な製品なのです。河原の小石をイメージしたという真っ白なフォルムは、とても薄く焼かれていて、中に仕込んだLEDライトの光を柔らかく発します。アンティークのキャンドルドームなどに近い製品ですが、有田焼の技術の応用例としても面白いと思いました。
・普段使いできるスタイリッシュな防災用ラジオ 電化製品では、EXTRA PREVIEWで展示されていたSiNCEREの「RELAX マルチレトロラジオ」(8580円)も良い製品でした。
最初はよくありがちのレトロなデザインのBluetoothスピーカーかと思いました。それは半分は当たっていたのですが、実はこの製品、防災用のラジオでもあるのです。
・側面にはライト機能もある 電源はUSBによる充電の他に、ソーラーバッテリーと発電用の手回しハンドルも付いています。さらに側面には懐中電灯として使えるライトがあり、ラジオはFM、AMの他に短波放送も受信可能。
ライトとして使う時に便利な把手も付いた本格的な防災ラジオなのに、このしゃれたデザインが良いのです。防災グッズで、普段はBluetoothスピーカーとして置いておけるデザインなのは重要だと思うのです。
アナログと最先端技術の合体が生む面白さ
同じく、Extra Previewで見つけたのが、AIと立体四目並べができるGiiKERの「AIスマート4」(8360円)です。画面上では遊びにくい立体四目並べを、対人でも、AI相手でも対戦できるインターフェイスが良くできています。AI分も自分でコマを置くことにはなるのですが、その「コマを手に取って盤上に置く」という動作と、相手はAIであるという認識が混ざった感じが何とも楽しいのです。
・印刷会社の技術が凝縮された超リアルな「さかなかるた」 ゲームでは、ギフトショーで見つけた千葉印刷の「さかなかるた」(3960円)も、なかなかの名品でした。
印刷会社の高度な印刷技術によって実現した、魚の表皮のリアルな質感がすごいのです。その魚の表皮のアップが取り札になっていて、読み札の方は、魚の図鑑のような体裁になっています。その対応のさせ方も良いですね。光沢感や、光の反射で色が変わる鱗の感じなど、ほんとうに良くできているので、一度、実物を見てください。
・紙と町工場の技術の組み合わせ 紙と町工場の技術の組み合わせとして、その斬新なアイデアに驚いたのが、中島プレス工業の「ORU-KOTO」です。
ギフトショーの町工場が集まったブースでの小さな展示だったので、見逃した方も多いかもしれませんが、紙を折ってぽち袋などに使える袋を作る「折形」の文化を手軽に体験し、好きな紙を使って、凝った「折形」が折れるようになる製品なのです。
・形状記憶紙だから何度も折ったり開いたりできる 不織紙にプレス工場ならではの技術で、折るための折り線をプレス。さらに特殊な加工を施すことで、形状記憶の紙ができ上がります。つまり、「折形」がどのように折られているかを、実物を手にして、開いたり、もう一度元の形に戻したりして、学ぶことができるわけです。
複雑な折り方でも、折ったり開いたりが試せるなら、図や動画で見るよりも、もっと楽に覚えられます。6つの折形見本がセットになった「ORU-KOTO 折形見本帳 全6点セット」(1万1880円)や、折り線が印刷された和紙と見本のセットなど、さまざまな形で商品展開しているので、まずは一つから試すといったこともできます。
新しい価値観を創造した木製アイテム
インテリア的な製品では、ギフトショーに展示されていたストーリオの「テーブルトップウェルネス」シリーズが興味深い製品でした。曲げ木を使ったステーショナリーや照明機器などのデスクトップツールを得意とするブランドが今回発表したのは、デスクトップツールのような感覚で使える、ウェルネス製品でした。
曲げ木の弾力を応用した「Hand Grip」(1万3200円)、木の温かみをデザインに組み込んだ「Dumbbell」(1万6500円)、自分の身体を意識するための鏡を、デスクトップに似合う形にデザインした「Mirror」(1万6500円)の3点は、緩やかに、楽しんで運動ができる形を新しく発明したような製品です。何よりこれなら机の上に転がっていても怖くないし、邪魔にもなりません。4月末発売予定です。
・子どもも大人も惹かれる木製家具 家具では、ギフトショーでベストブース賞も受賞していた、木工メーカー「SHIKI」の子ども用家具のブランド「totte」も、かわいさと機能の調和が美しく、これからの家具が向かう方向を示すような製品でした。
特に、角がない、曲線と平面だけで構成されながら、いかにも座りやすそうな「STOOL」(6万6000円~)が抜群の出来。もう子どもが大きくなったわが家でも、インテリアとして置いておきたい、大人も座れるスツールとして十分使える製品なのです。
他にも、文字がまだ読めない段階でも時間の感覚に触れることが可能な、触覚に訴える時計「TIME」(2万7500円)など、興味深い製品が多く、今後が楽しみなブランドです。
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