海外向けギフトショップと本格的文房具店の融合
国際線ターミナル直結ということで、海外向けのお土産物店的な要素も十分ありながら、ギフトショップ的な楽しさや、文具好きの日本人も行ってみたくなる要素、日本の文房具の面白さ、便利さを広く伝えるアンテナショップ的な役割も含んでいるのが面白いところ。あまり、他で見ることのない、複合型の文具店になっています。第3ターミナルから羽田エアポートガーデンに続く通路は、片側が窓、片側には店舗が並んでいます。そこを抜けるとエアポートガーデンの2階です。道なりに右に歩いていくと、紀ノ国屋や北海道くらし百貨店などを越えた5軒目が「KOKUYODOORS」です。
・コロナ禍を経てやっとオープン 白で統一された内装は、ちょっと見た感じは文具店ぽくないので、見逃さないようにしてください。
本来は、2020年4月にオープンする予定が、コロナ禍で施設自体のオープンが延期になっていました。デザインも内装も、一部商品の仕入れなども終わった状態で3年経っているのですが、品ぞろえも、デザインも古さを感じず、むしろとても新鮮に見えるのは、当初からかなり先を見て構想された店舗だったのでしょう。
直営店ならではの限定商品もいろいろ
まず、注目したいのは「KOKUYODOORS」の限定商品です。薄手のハードカバーで扱いやすいロングセラーのノート「測量野帳」の限定色バージョン「KOKUYODOORS オリジナル 測量野帳」550円(税込。以下同)、やはり限定色で限定柄の「KOKUYODOORS オリジナル マスキングテープ」330円、文具柄の「KOKUYODOORS オリジナル 超撥水風呂敷」3300円、中に限定柄が印刷された透明シートが入った「KOKUYODOORS オリジナル ソフトクリアケース」が「A4サイズ」550円と「A5サイズ」440円の2種類。測量野帳とマスキングテープの限定色は、歌舞伎の定式幕などをイメージさせる柿色と、日本古来の藍色、それに白を加えた3色。測量野帳には裏表紙に「KOKUYODOORS」のロゴも入ってます。ハードカバーで立ったまま書くのにも便利ですし、薄くて持ち歩きやすいので、旅に持っていくメモ帳として、ここで買ってポケットに入れておくのも良さそうです。
・お土産にぴったりな「文房具の詰め合わせセット」
限定のソフトクリアケースにショップおすすめの文具を詰めたセットも販売。「KOKUYODOORS オリジナル 厳選文具セット」4000円と「KOKUYODOORS オリジナル まなびセット」2000円があります。また、自分でオリジナルのセットを組むこともできます。
・人気商品を体験できるコーナー 店内は、キャンパスノートの原紙を使った巨大なロール紙が用意された、紙の質と書き心地を体験できるコーナーや、コクヨの人気商品を実際に触って確かめられる「文具タッチアンドトライコーナー」といった、体験型の棚も用意されています。海外の方に向けた、日本の文房具の性能のアピールでもありますが、日本人でも意外と知らない「文房具の最先端」を知ることができるコーナーでもあります。
雑貨感覚で買えるお土産用文房具とは?
また、限定のクリアケースに入れられたギフトセットのコーナーや、まるでお菓子のように色違いのテープのりや消しゴム、メモ帳などがつながっている「連袋」のコーナーといった、ギフトショップ的な要素も備えられています。この、「連袋」が面白くてかわいいのです。いわゆるばらまき用のお土産物なのですが、同じ製品の色違いがつながっているのは、とてもかわいくて、しかも、モノはガチの文房具なのにとても雑貨感があるように見えて意味もなくほしくなります。
・KOKUYODOORSならではの特別商品 この「連袋」は、すでに文具女子博では先行販売され大人気となった製品ですが、ここでなら、いつでも購入することができます。また、このつながったシリーズに入っている「和柄キャンパスノート 5連セット」1500円は、ここだけのデザインを用いた特別仕様になっています。
その他、筆記具をあまり作っていないコクヨですが、文具好きのスタッフが厳選した他メーカーの筆記具を集めたコーナーや、海外で人気が高いルーズリーフのコーナー、コクヨのノートが各種そろうコーナーに、学習文具のコーナー。更には、直営店ならではのKOKUYO DESIGN AWARD受賞で商品化された製品のコーナーなど、文具好きも納得できる品ぞろえです。
特別なセットも買える文房具の自動販売機
さらに、巨大なディスプレイが付いた文具の自販機も設置されています。ペットボトルなどでは最近あちこちで見かけるようになったタイプですが、ここではさまざまな“文房具”が購入できるのです。大型ディスプレイのおかげで、詳しい商品説明が表示されるのが魅力的。・自動販売機専用の特別セットもお見逃しなく うっかり、意味もなく買いそうになるのですが、実はこの自販機専用の特別なセットも入っています。
キャンパスノートのB6、A6、B7、A7、ノートふせん、修正テープに、ここでだけ手に入る両面印刷のキャンパスノートの図解ポスターが付いた「キャンパスセット」1000円と、ドットライナーが5種類詰め合わせになっていて、ドットライナーのラインナップが一覧できる両面印刷の図解ポスターが付いた、ややマニアックな「ドットライナーセット」2000円が購入できるのです。このポスターの出来が良いので、文具好きはぜひチェックしてみてください。
ショッパーにもコクヨらしさがあふれている
そして、何より筆者が感動したのが、この店舗のために用意されたショッパーです。紙袋有料化を受けて、商品を購入しなくても100円で購入できるショッパーですが、これを底面に印刷された説明書通りに切ったり折ったりすることで、A4のファイルケースになったり、野帳やキャンパスノート専用のブックカバーになったりするのです。 使い捨てを好まない海外の方への配慮という面もありますが、これがすごいのは、その仕掛けごときちんとデザインして、見た目もカッコいいショッパーに仕上げてあることです。さほどかさ張る物は入れない文具店ならではの、マチが薄めで横に長いショッパーは、それだけでも、洒落たブリーフケースのようです。折り線などまでデザインに組み込んであるところが、文具メーカーらしいですね。店舗に入ってみると想像よりも広々と、ゆっくり見られるディスプレイも良い感じです。什器なども専用に作られていて、よく見ると小技が効いています。そういう細部を楽しむこともできる、面白い文具店が出てきたなと思いました。