テーブルからは調味料や食器がなくなる?
回転寿司は装置産業としての側面があり、これまでもさまざまな課題を機械の力をもって解決してきた歴史がある。
例えば、タッチパネルやオーダー専用レーンは、客のクレームのトップ3である、「注文品が来ない」「注文品が届くのが遅い」「注文品が間違っている」というクレームを解決するために開発された。このシステムをいち早く導入したかっぱ寿司は一気に業界のトップへと駆け上り、大手回転寿司チェーンの全盛期を牽引した。
ある意味、客のクレームや各種不都合を解決することで進化をしてきた回転寿司業界にとっては、今回も機械やアイデアによって解決するのはそれほど難しくはないと思っている。
ただし、飲食業界全体の問題として卓上の調味料や食器類をどうするかという問題は残る。先述の通りスシローは簡易的な措置として、それらを一箇所に集めて客がそれぞれ持っていく方式を打ち出したが、これも一案。
昔は上下2段のレーンがあり、上には寿司が下には湯呑みだけが回っている、なんてレーンが流行った時代もあった。客が来店するたびに箸や食器を従業員が持って行けば問題ないが、その人手をかけられないのが回転寿司の泣きどころ。合理化により人件費を抑えることは命題として、客に協力を求めても良いかもしれない。例えば、マイ箸やコップを持参する人には特典がつくなど、両者がWinーWinの関係になれるやり方もありだと思う。
苦境が続く業界には痛手であった今回の事件だが、きっちりと乗り越えて新しい回転寿司のあり方を提示できるチャンスと捉えることもできる。「さすが回転寿司!」と感心される施策が各社より発表されるのを期待したい。
参考
※1:あきんどスシロー「SNSで拡散されたスシロー店舗での迷惑行為に関するお知らせ」
※2:時事ドットコムニュース 2023年2月4日
※3:読売新聞オンライン 2023年2月6日
※4:あきんどスシロー「店舗運営方法の一時変更について」