人間関係

暴力や虐待ではない、ただ「自分に関心を持ってくれなかった」あの母は毒親だったのか?

【毒親の毒は消えない #9】子どもの頃からずっと、母は感情的に寄り添ってはくれなかった。30代女性の話から見えてくるのは、明らかな暴力や虐待などでなくても「毒親」になる可能性があるということだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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明らかな暴力や虐待などがあれば、「毒親」と断言できるが、外から見ればごく普通の母娘関係でありながら、娘は母から毒されていると実感しているケースがある。これが「被害妄想」なのか「やはり毒親」なのかは、当事者の感情的発達にどれだけ悪影響が及んだかにもよるのかもしれない。数値化できる話でもないため、むしろ本人の苦悩が深まりそうだ。
 

気持ちをわかってもらえなかった

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親も「他人」なので、そう簡単に自分の気持ちをわかってくれるものではない。とはいえ、感情をうまく言語化できない幼少時には、親にもっと「わかろうとしてほしかった」と、ハルカさん(37歳)は言う。

「うちは自宅兼店舗で商売をやっていたので、両親は朝から晩まで働き通しでした。それでも小学校から帰る時間帯は、母はなるべく一緒にいようとしてくれていたようです。父に言われてそうしていたようですが」

ハルカさんには2歳違いの弟がいた。母は弟の話はよく笑いながら聞いていた。だが、ハルカさん自身が、その笑顔を向けてもらった記憶がないという。

「私だって学校であったことなどを話していました。でも母はいつも、『ああ、そうなの』という感じ。友だちに何か言われて悔しかったときも、『それはその子がそう思ったんだから、しょうがないんじゃない?』という反応でした。『悔しかったね』という一言がほしかったのに。弟は母同様、あっけらかんとした性格で、あまり共感を求めていなかったんでしょうね。私は母に共感してほしかった。だけど子どもだから、自分が何を求めているのかわからなかったし、母にどう接してほしいのかもわかっていなかった」

ただ、母と話すとモヤモヤする。何か満たされない。

中学生になると、思春期特有の揺れる心を持て余し、母に反抗もした。だが、母はいつものように淡々と接するだけだ。冷たくされているわけではないが、母は自分に関心がないのだ。ハルカさんはそんな思いだけが募っていった。

>「え?そこ?」リストカットした私に、母は言った
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