スマートフォン

半導体不足と円安に苦しんだ2022年、注目したスマートフォン3選

2022年のスマートフォン市場は、半導体不足や、円安による価格高騰にメーカー各社が悩まされ、個性を打ち出すのが難しかった1年といえるでしょう。そうした中で筆者が注目したスマートフォン3機種を紹介しましょう。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

2022年はスマホ市場にとって苦難の年に

2022年も間もなく終わりを迎えようとしていますが、スマートフォン業界から見れば2022年は苦難の年だったといえます。

理由の1つは、年の前半頃まで続いた半導体不足です。その影響によって低価格帯を中心に調達できる半導体が限られてしまったことから、スマートフォンのスペック変更を余儀なくされるケースがいくつか見られましたし、特にミドル~ローエンドのスマートフォンでは機能・性能的に似通ったものが多くなってしまいました。メーカー各社も個性を打ち出すのに苦労している印象で、特徴的なスマートフォンが少なかったというのが2022年の大きな傾向の1つといえます。

そしてもう1つの理由は円安であり、海外で製造して輸入販売することが多いスマートフォンも円安の影響を少なからず受け、年の後半には高額化が進んでしまいました。とりわけアップルがiPhoneを大幅に値上げしたことの影響は大きく、新機種の「iPhone 14」シリーズも、性能の割に値段がかなり高くなってしまったことで消費者を落胆させた感は否めません。
 

筆者が注目したスマートフォン3機種

そうした状況を踏まえた上で、2022年に筆者が注目した機種を3つ挙げてみましょう。

1. iPhone SE(第3世代)
円安の影響により大幅に値上がりしたiPhoneですが、ある意味でその救世主となったのが「iPhone SE(第3世代)」です。
2022年注目スマホ

「iPhone SE(第3世代)」

第3世代のiPhone SEはiPhoneの中では低価格モデルということもあって、第2世代のiPhone SEと同様、画面サイズは4.7インチと小さく、生体認証もマスクありでの解除にも対応した「Face ID」ではなく指紋の「Touch ID」であるなど、デザイン面の古さは否めません。ですがチップセットに前年の「iPhone 13」シリーズと同じ「A15 Bionic」を搭載し、5Gにも対応するなど非常に高い性能を備えています。

それでいて販売当初の価格は5万7800円からと比較的安く、2022年7月に6万2800円へと一度値上げがなされてはいるのですが、携帯各社のショップ店頭で大幅値引きがなされ、発売当初から一括1円など非常に安い価格で販売されるケースが相次ぎました。高額化が進んだ中にあって、5G対応のiPhoneを激安で購入できたことも、第3世代iPhone SEの存在感を大きくしたといえ、今年を象徴するモデルの1つであることは間違いないでしょう。

2. Pixel 6a
同様に、円安の中にあってお財布に優しいスマートフォンとして注目されたのがグーグルの「Pixel 6a」です。Pixel 6aは前年に発売された同社のハイエンドモデル「Pixel 6」シリーズと同じ、グーグル独自のチップセット「Tensor」を搭載しながらも、5万3900円と安価であったことから大きな話題となりました。
2022年注目スマホ

「Pixel 6a」

もちろん価格が安い分、カメラの性能やRAMなど性能を落としている部分はあるのですが、それでも搭載しているチップが同じなことから、「消しゴムマジック」や文字起こしができるボイスレコーダーなど、グーグルのAI技術をフルに生かした機能は全て利用可能。画面サイズも6.1インチと大きく、第3世代iPhone SEを上回るコストパフォーマンスを実現したといえます。

グーグルはその後投入した新しいハイエンドモデル「Pixel 7」シリーズでも、機能・性能を向上させながらも、円安が進む中にあってあえて価格を抑えて販売したことで、やはり注目を集めています。日本でのシェア拡大に向け攻めの姿勢を続けるグーグルが、2023年にどのような施策を打ってくるのかは引き続き注目される所です。

3. Galaxy Z Flip4
2021年は勢いのあったハイエンドモデルですが、その反動に加え円安などが直撃し、2022年は厳しい印象を受けたのも確か。そうした中からあえて1機種ピックアップするとすれば、サムスン電子の「Galaxy Z Flip4」でしょう。
2022年注目スマホ

「Galaxy Z Flip4」

こちらは大画面のスマートフォンを半分に折り畳める、縦折り型の「Galaxy Z Flip」シリーズの4代目に当たるモデル。代を重ねたことで折り畳みスマートフォンとしての完成度は大幅に高まっていますが、インパクトのある進化を遂げた訳ではありません。ではどこに注目したかというと、そのプロモーション姿勢です。

というのも日本でGalaxy Z Flip4、そして横開きタイプの「Galaxy Z Fold4」の発売を発表したのは、アップルが「iPhone 14」を発表したのと同日。Galaxy Z Flipシリーズは主として若い女性をターゲットとしたモデルですが、日本の若い女性層はiPhoneを熱狂的に支持する岩盤支持層でもあり、Androidスマートフォンには見向きもしない傾向にあります。

にもかかわらず、サムスン電子があえて新iPhoneの発表に国内での新機種発表をぶつけたということは、「Galaxy Z Fold4」でiPhone支持の若い女性層を切り崩す狙いが強いといえるでしょう。最近はiPhoneに明確に対抗できるメーカーも限られてきているだけに、あえて勝負を挑む姿勢は評価できる所ではないでしょうか。


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