亀山早苗の恋愛コラム

職場恋愛、職場結婚は「公私混同」で気持ち悪い!?職場での出会いが恋愛に発展しない理由

かつてはありふれた出会いのかたちだった職場恋愛、職場結婚が、今や「公私混同」といわれる時代になった。「気持ち悪い」とすら感じるというのだが……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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ここ20年で「職場結婚」の数は半減したといわれている。代わりに増えているのは高校・大学の「同級生婚」、さらに最近ではマッチングアプリなども活用されているようだ。なぜそこまで職場での出会いが恋愛に発展しづらくなったのだろうか。
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公私混同はしたくない

「私の両親は職場結婚なんです。子どものころはなんとも思わなかったけど、自分が社会人になったら、『職場恋愛とか職場結婚とか、気持ち悪い』と感じてしまって……。そもそも会社は仕事をする場所でしょ。そんなところで恋愛するって公私混同ですよね」

ユウカさん(30歳)はそう言う。母親にそう話したら、「近くにいれば情も移る。そういうものでしょ」と言われたそうだ。

心理学でも物理的な近さは心理的近さと比例するという。毎日顔を見て話しているうちに好意が芽生えるのはじゅうぶんにあり得ること。しかも一緒に仕事をしていれば、彼のさまざまな面を見ることもできるわけで、一生一緒にやっていけるかどうかを判断しやすいとも思われる。

「今の会社に入って3年くらいたったとき、異動でやってきた2年先輩にアプローチされたことがあるんです。その人はいい人だったけど、やっぱり同じ会社の人は抵抗があって、つきあうことさえできなかった。結局、同期の子が彼に積極的に仕掛けて結婚していきましたけど」

社内の同世代からは「公私混同だよね」という声が多かったという。

「見なくていい面も見ちゃうじゃないですか。彼が上司に怒られているところとか。結婚後、私が会社を辞めようが異動しようが、やはりどういう会社でどういう仕事をしていて周りの人の顔もわかっているような関係って、気持ちが萎えますね」

仕事と私生活は別。そんな今どきの感覚がここにはある。
 

マッチングアプリで合う人と会うのが効率的

社会人3年目のトモエさん(25歳)は、「今は結婚する気はないけど、つきあう相手はマッチングアプリで選んでいる」と話してくれた。

就職を機に、学生時代につきあっていた彼とは別れた。

「就職したらお互いに忙しくて、会う時間がなかなかとれないだろうし、まずは仕事を覚えなくてはいけないと思ったんです。だからとりあえず別れよう、と。彼は意味がわからないと言っていたけど、私は学生時代をひきずったまま社会人になるのが嫌だったんです」

仕事で大変なことがあったとき、お互いに相手を“逃げ場”にして愚痴を言い合うようなこともしたくなかった。だからといって「別れる」というのはずいぶん過激な方法ではある。

そんな彼女だから、当然、社内恋愛など考えられないと言う。

「職場でもプライベートでも同じ顔を見るなんて嫌ですよ。デートのときの会話も社内の噂や仕事のことになりそうだし。私の同期も、社内恋愛はあり得ないと言っています。4年先輩のカップルがいるんですが、楽しいのかなあといつも思うんですよね」

もっと上の世代では職場結婚をして共働きもいるが、そうなると「信じられない世界」らしい。かといってトモエさんだけがドライだというわけではなさそう。

「恋愛や結婚も偶然や馴れ合いみたいなものではなく、効率を考えますね。うまくやっていけそうな人、合いそうな人をマッチングアプリで選んで、メッセージのやりとりを重ねて会う。そのほうが失敗が少ないと思いますよ」

そうなると恋愛初期のドキドキ、ワクワクは少なくなると彼女も認めているが、それでも「合うか合わないかに無駄な時間を割くより、ドキドキしなくてもうまくいくほうがいい」らしい。

「だって恋愛のドキドキなんて最初のうちだけでしょう。そこをカットして、人と人としてきちんと向き合えるかどうかというところから入ったほうがいい。長くつきあえるのか、結婚をどうとらえているのか、女性を下に見ていないか。そういうところが重要なんですから」

彼女の言うことはもっともである。近くにいるから、情が移ったからと自然に恋愛に発展する関係より、恋愛しようと決めて合う人を見つけるのは確かに効率的だし、「こんなはずじゃなかった」が少なくてすむのかもしれない。

職場恋愛が減ったのは、「ひとつの職場にずっといるとは限らない。恋愛に発展する前に転職するケースも多いのでは」とトモエさんは分析する。

ましてリモートワークが増えれば、社内で顔を合わせる機会も減るだろう。

「公私を分けたい、オンとオフは気持ちも一緒に過ごす人も別。そういう感覚、私たちには強いような気がしますね」

善しあしの問題ではなく、時代や人間関係はそうやって動いているのである。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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