お茶を楽しむメディア「CHAGOCORO」の新展開
伊藤園「Ocha SURU? Glass Kyu-su 01」5390円(税込)。耐熱ガラス製のグラス3つ、急須、茶こしのセット。購入はこちら(※1)。
「お茶を淹れる人はカッコいい」と思ってもらえる世の中を
「『CHAGOCORO』は伊藤園の取引とは関係なく、お茶業界の面白いことをしている人や、お茶が好きな文化人の方などを取材して載せるメディアとして3年前に立ち上げました」と、水野さんはその始まりからお話ししてくださいました。その後、サイトで取り上げた、作り手が作ったお茶を飲みたいという声が多く寄せられたことから、ショップ機能を搭載。サイトで取り上げているお茶や、同じ作り手の他のお茶などを販売したのだそうです。「サイトの裏テーマというか、コーヒーのバリスタとか、お酒のバーテンダーじゃないですけど、『お茶を淹れる人はカッコいいよね』と思ってもらえる世の中を作りたいというのがあったんです。それは、茶葉だけを売っていても実現しないような気がして……。ならば、カッコいい茶器も売りたいね、という話になったんです」と水野さん。
ただ、現在の家でお茶を淹れない時代を作った一端を担ったのは、ペットボトル茶の普及です。しかも、それを牽引したのは、最初の缶入り烏龍茶をヒットさせ、ペットボトル茶「お~いお茶」シリーズでトップシェアを誇る伊藤園だったりします。そのペットボトル茶は、茶葉から淹れるのには敵わないにしても、ちゃんとおいしいのです。それこそ、缶コーヒーとハンドドリップのコーヒーほどの大きな差はありません。
「ペットボトル茶も、巨大な急須で淹れていますから」と水野さんは言う。
ファーストプレイスでお茶を楽しんでもらうための茶器
「ペットボトル茶の普及で、お茶は家の外に持ち出されるようになりました。どこでも気軽に飲めるという部分で、支持していただいたのだと思います。それこそ、会社だったり学校だったり、いわゆるセカンドプレイスでの飲み物としてのお茶ですよね。その分、ファーストプレイス、つまり家で飲むお茶が減っていったのでしょう。一方で、コーヒーはサードプレイス、言い換えれば、家でも学校や職場でもない場所で楽しむ文化が生まれたり、家で淹れる人たちも増えています。そういう広がりを、自分たちとは関係ないと知らない顔をするのは違うと思うんです。茶器のような、変わらない道具を、そのままにするのではなく、自分たちが商品にしている大事な茶葉の相棒として、従来の急須をリスペクトしながら、一歩踏み出したものを作るのも必要ではないかと考えたんです」 そうして、「CHAGOCORO」スタッフが考えたのが、「Ocha SURU? Glass Kyu-su 01」です。ガラス製の急須は今までもありましたが、それらとはあまりにも形が違う製品だけに、パッと見てすぐに淹れ方が分かる人は、普段からお茶に親しんでいる方だけかも知れません。「急須って、どうしても把手とかが邪魔で、片付けるのにも場所を取ってしまいますよね。そういう部分を取り払ってしまって、まずは、ミニマルな茶器を作ってみたという感じです。僕自身がガラスが好きで、今回、この製品を製造していただいたVISION GLASSさんのファンということもあって、いろいろガラスの器を見ていたんです。そこで、耐熱ガラスの入れ子のグラスとか、その蓋にもなる低いお皿のような入れ物が売っていたんです。それを見ていて、『あれ? これに片口みたいな注ぎ口を付けたら急須になるんじゃないか?』と思いつきました」と水野さん。
初心者からマニアまで、それぞれに使えるミニマルな構成
実は、このシンプルな構造が、お茶を淹れるのにとても便利なのです。茶葉は見えているし、全体にお湯を浸して蒸らすのも、実際にお湯を注いでから茶葉の開き具合を見るのにも、平たい形なのでとても見やすく、茶葉ものびのびと開きます。そして、ガラス製の湯呑みに茶こしを載せて、お茶を注げば、茶葉が入ることなく、好きな分量を注げるという仕掛けです。「中が見えるというのは大事かなと。急須の中の見えないところで何かが行われて、お湯がお茶になるというよりも、お茶が入る過程が見える方が楽しいし、失敗も少ないんです。なんだか冗談みたいな話ですけど」と水野さんは笑って言います。そして、そういうシンプルな構造と使い方の製品だから、いろいろと、お茶で自由に遊んでほしいのだそうです。 「実際、カフェとかで、これを紅茶を淹れる道具として使ってもらったりもしているそうです。また、水出しで淹れるのも簡単にできるし、大きい湯呑みを水差し代わりに使ったり、耐熱ガラスですから、水出しで淹れたお茶をそのまま電子レンジで温めたり、小さい湯呑みをエスプレッソカップのように使ったり、好きに使ってもらえるとうれしいです」 また、茶こしは、この製品に合う既製品が無く、水野さんが燕三条のメーカーさんの協力の元で新しく開発したもの。これが、3つの湯呑みの全部で使えるのはもちろん、茶こしにありがちな、洗いにくい部分がなく、フラットに作られているので、茶葉を落としたり、洗ったりがとても楽なのです。この茶こしの凄さは、お茶マニアの人ならすぐに分かってもらえるはずの隠れた名品となっています。つまり、オシャレ茶器というだけではない。お茶マニアとも言える水野さんら、スタッフの方々の、お茶愛にあふれたかなり凝った製品になっているのです。
茶器がプレイヤーなら茶葉はレコード
「brewnoteシングル」各216円(税込)。一つのパッケージに茶葉が4~5g(グラス約2杯分)入っている。さまざまなお茶屋さんそれぞれのデザインのパッケージも楽しい。購入はこちら(※2)。
面白いのは、パッケージのどこにも伊藤園とは書かれていないこと。「ウチのPRになっていなくていいから、いろいろやってみなさい」という社長の英断の元に生まれた企画なのだそうです。まるで、ティーバッグのような形なのに、実は茶葉だというのが面白いですね。その茶葉が気に入れば、50gや100g入りのタイプなどを購入できます。つまり、お試しパックのような感じです。
「まさに好きな音楽を聴くみたいな感じで、茶葉を選んでもらえたらという製品です。だからパッケージの形も正方形にしてレコードジャケットのミニチュアみたいにしました。デザインは、お茶屋さんそれぞれに個性的なラベルを使っていらっしゃるので、そのまま使わせていただいています。万年筆とインクとか、本当にそういう感じで、Ocha SURU?とthe brew noteを組み合わせて、自由にお茶を楽しんでほしいと思っています。淹れ方に正解とかはないですし、単に耐熱ガラスのグラスと片口として使ってもらっても良いと思うんです。お茶を淹れるのは難しくないし、茶葉によって味がとっても違うことなんかを楽しむきっかけになってくれたらうれしいです」
【参考】
※1:CHAGOCORO(https://www.chagocoro.jp/shop/2444.html)
※2:the brew note(https://www.chagocoro.jp/the-brew-note)