食生活・栄養知識

飲み合わせによっては危険?注意すべきサプリ・トクホと医薬品の組み合わせ

【薬学博士・大学教授が解説】健康のために栄養補助食品でもあるサプリメントやトクホ(特定保健用食品)を愛用している方は多いことと思います。しかし健康効果の期待しすぎは禁物です。これらは医薬品ではなく食品ですし、医薬品との組み合わせによっては、リスクがあるケースもあります。分かりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

薬ではないサプリやトクホ、健康効果の期待しすぎは禁物!

サプリメントやトクホのデメリット

サプリやトクホはあくまでも食品であり、薬ではありません。正しく理解して、安全に使うことが大切です

いつまでも健康でありたいと願い、普通の食事に加えて、サプリメントやトクホを利用している方も多いことでしょう。

サプリメントは「栄養補助食品」とも呼ばれ、ビタミンやミネラル、アミノ酸など体の正常な機能を維持するのに必要な栄養素が不足しているか、何らかの理由で摂取できないときに利用するものです。見かけはまるで薬のような錠剤のものもありますが、決して医薬品ではなく、食品です。つまり、病気の治療に用いるものではありません。

また、「特定保健用食品(トクホ)」は、1991年に栄養改善法で法制化された食品で、「特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健目的が期待できる旨の表示が許可された食品をいう」と定義されています。

より具体的には、体の生理的機能に影響を与える成分を含み、その摂取により特定の保健の目的が期待できることを示す科学的根拠を示して、国の審査のもとに消費者庁の許可を受けた食品です。こちらもあくまで食品ですから、病気を治すといった効能をうたうことはできません。「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」など健康の維持・増進に役立つまたは適する旨の表示のみが許されています。

薬と食品の区別がつかない方にとっては、何らかの病気になったときに、病院からもらった薬だけでは満足せず、テレビ番組などで宣伝されているサプリメントやトクホの商品にも手を出す場合が少なくありません。そのとき問題になる点は2つあります。

1つは、繰り返しになりますが、そもそも薬ではないサプリメントやトクホに病気への治療効果を期待してしまい、病院からもらった薬を正しく飲まなくなってしまう方がいることです。そしてもう1つが、相互作用です。
 

サプリメントやトクホ、医薬品との組み合わせによっては危険なものも

サプリメントやトクホと医薬品の組み合わせで、危険性が指摘されている例をいくつか紹介しましょう。

ゴマに含まれる「セサミン」は、強い抗酸化作用をもち、生活習慣病の予防やアンチエイジングなどの効果が期待されていますが、血圧を低下させることがあります。血圧を下げる薬を飲んでいる人が、セサミンを摂取すると、予想以上に血圧が下がってしまう恐れがあります。

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚の脂肪に多く含まれ、動脈硬化を防ぐ効果が期待されていますが、血糖値を上昇させることがあります。糖尿病の人にとっては、病院からもらっている糖尿病の治療薬が効かなくなってしまう恐れがあるので、避けた方がよいでしょう。
 

サプリメントやトクホの注意点……組み合わせによっては何が起こるか不明

サプリメントやトクホと医薬品の組み合わせは無数にあり、そのすべてがどうなるかを予想することは難しいでしょう。

もっとも簡単な対策は、病気の治療のために医薬品を使っている人は、サプリメントやトクホをできるだけ利用しないことです。サプリメントやトクホは、健康な人が利用するものであって、病気のときは避けるべきだと心得ましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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