災害や電力需給バランスの崩れにより、年々必要になる「停電」への備え
ゲリラ豪雨による落雷や、洪水による電柱の倒壊など自然災害が原因によって起きる停電。記憶に新しいところでも、2018年には北海道の地震の影響により起きた約2日に渡るブラックアウト、2019年台風15号の影響により完全に復旧するまで19日かかった千葉県内の停電、また今年3月にも地震の影響により首都圏の一部地域で停電になる事態もありました。そして近年は、電力の需給バランスが崩れる可能性があるときに政府から「電力需給ひっ迫注意報」や「電力需給ひっ迫警報」なども発令されているように、自然災害以外でも停電に備える必要性が高まっています。
東日本大震災のあとに計画停電があった地域では、懐中電灯や乾電池が店頭で品薄となり、必要に迫られ高額のものを買わなければならなかった人もいました。
いつ停電があっても最小限の不便と不安で済むように、またいざというときに無駄な出費をしないでも済むように、今回は今やっておきたい停電への備えについてご紹介します。
日頃から動作確認を! 照明代わりの「懐中電灯」や「ランタン型ライト」
どのご家庭にも懐中電灯のような明かりとなるものが1つはあると思います。しかし長期間使っていない間に乾電池が漏れていたなどで、いざというときに使えなかったという話もよく聞きます。停電時の照明代わりになるものは、日頃から使い動作確認することが大切です。たとえばランタン型(置き型)タイプのものであれば、就寝時のベッド灯のようにして使うことができるでしょう。
また乾電池タイプのものと、ソーラー充電できるものがあるとより安心です。
気を付けたいのは、ろうそく。特に地震の影響で停電になったときは、余震を考えてろうそくを使うのは避けたほうがいいでしょう。乾電池のように劣化しないという点でろうそくを常備している家庭もありますが、余震による火災の危険を考えると、乾電池タイプのものを日頃から使ってチェックしておくほうが安全です。
複数個用意して満充電しておきたい「モバイルバッテリー」
今の時代、何か不測の事態が起こったとき、まずスマートフォンで状況を確認する人が多いのではないでしょうか。地震が発生したとき「◯秒後にくる」という通知はアプリが圧倒的に早いため、スマートフォンは常に使える状態にしておきたいものです。スマートフォンの充電のためにも、モバイルバッテリーは必須。不測の事態のときは、何度も情報をチェックしたりして普段以上にスマートフォンの電池が早くなくなります。常日頃から複数個のモバイルバッテリーを満充電にしておくことをおすすめします。 照明代わりになりモバイルバッテリーの機能を備えているものや、逆にモバイルバッテリーだけれどライトもつくという多機能のものをいくつか持っていると安心です。
コストはかかるけど安心感・利便性はダントツ「ポータブル電源」
ポータブル電源をよくご存知ないかたへご説明するのであれば、モバイルバッテリーの大きなタイプというのがわかりやすいかもしれません。コンセントやソーラーで充電すると、単体で電源として使うことができるものです。製品のサイズによって使える電力量も違ってきますが、筆者が利用しているものはスマートフォン、パソコンやテレビはもちろん、電気毛布や小型の調理家電なども利用できます。ポータブル電源がひとつあると、停電のときに「モバイルバッテリーの充電を使い切ってしまうかも」といった不安が減る安心感と、パソコンなども使えるために仕事をすることもできて便利です。 別売りになりますがさらに安心感が高まるのがソーラーパネルの存在です。停電が数日間続くときなどは、太陽光で充電できるというだけ不安要因が一つ減ります。
筆者は、晴天時にはソーラーパネルで充電、曇りや雨の日は夜間にコンセントから充電をし(筆者宅は夜間に料金が安いプランで電気の契約をしているため)、日中のパソコンやスマートフォンの充電などに日々使っています。
オール電化の家は停電時に備えて「カセットコンロ」も
オール電化の家庭ならばカセットコンロも用意しておいたほうが安心です。停電も長時間になると、これも日頃から使う習慣をつけておいたほうがいいでしょう。冷蔵庫の停電対策に「保冷剤」や「凍らせたペットボトル」
停電が発生すると困るのが冷蔵庫に入れている食料品。一般的な冷蔵庫では停電になっても扉を開けなければ、2~3時間であれば温度を保つことができます。6時間程度は多少庫内の温度が上がっても食料品の品質は保てます。扉を開けてしまうと、庫内の冷気と室内の空気が入れ替わってしまい温度は一気に上がってしまいます。より長く温度を保つために、冷凍室には保冷剤を入れておくことをおすすめします。最近は保冷時間が長い高性能な保冷剤も市販されているため、そのようなものを冷凍室に常に入れておいたり、ペットボトル(冷凍用のものが望ましい)に水を入れて凍らせておいたりすることをおすすめします。
夏なら暑さ対策グッズも必須
停電になったとき、冬ならば服をたくさん着るということで寒さをしのぐことができますが、夏の暑さは簡単にはしのぐことができません。水に濡らすことで冷感効果があるタオルや、USB接続や乾電池で動く扇風機などを備えておくことも大切です。また前述の冷凍室に入れておく保冷剤も使うことができます。冷凍室を開けることになるので、冷凍室内の保冷効果は下がってしまいますが、熱中症を避けるということを考えると背に腹は代えられないでしょう。
キャッシュレスの時代だからこそ備えておきたい「現金」
停電時にはお店側のキャッシュレスのシステムが使えなくなり、現金しか使えないという事態になります。数日分の現金は常日頃から用意しておきたいものです。ここまでご紹介したように、日頃からの備えが大切というのはいうまでもありません。その上で、備えているものが正常に動作するか否かを、確認のためにも平時から使っておくことをおすすめします。