「思い出し怒り」は、ほっと一息つく時間帯に生じやすい
あとから怒りが蒸し返す「思い出し怒り」。早く楽になるために、2つの心得を押さえておきましょう
人から言われてカチンときた言葉、失礼に感じた態度。そのときは受け流すことができても、あとから苛立ちがよみがえり、「思い出し怒り」が止まらなくなってしまったことはないですか? この「思い出し怒り」にたびたびおそわれると、憂うつやイライラがつのり、気持ちが落ちつかなくなってしまうものです。
怒りの感情は、意思とは関係なく突如わいてくるものですから、完全に防御することはできません。とはいえ、怒りがわきやすいタイミングもあるので、その時間帯には、怒りにとらわれないように特に気をつけましょう。
たとえば、夜寝る前のひととき、ぼーっとしているとき、忙しさが一段落した後。このようにほっと一息つける時間帯には、心の奥にしまい込んでいた未解決な思いがよみがえりやすく、「思い出し怒り」も生じやすいのです。
「思い出し怒り」が生じたときには、まずはそれ以上考えないようにすること。さらに、次の3つの心得を覚えておくのもおすすめです。
「思い出し怒り」対策法1. 怒りの原因について考え続けないようにする
「思い出し怒り」をしていると気づいたら、怒りの原因について考えすぎないようにしましょう。たとえば怒りのきっかけとなった出来事やカチンとくる一言を言った人のこと。こうしたことについて考え続けていると、多くの場合、現実を曲解してネガティブな解釈を乗せ、怒りを何倍にもふくらませてしまうものです。たとえば、仲間の会合に自分だけ呼ばれなかったことを後で知ったとき、そのときはショックを受けていただけだったのが、あとで「思い出し怒り」に発展すると、「みんなが私のことを嫌っているから、私だけ仲間はずれにしたんだ」「私の悪口を言うために、集まったに違いない」というように悪い想像を上乗せし、怒りを何倍にも強くしてしまうものです。
根拠なく悪い想像をふくらませ、イライラを募らせていくのは無意味なことであり、心のエネルギーと貴重な時間を無駄にするだけです。怒りの原因について考えはじめたら、大きく深呼吸して「これ以上考えるのはやめよう」と自分の心に伝えましょう。
「思い出し怒り」対策法2. イライラをそのまま人にぶつけない
「思い出し怒り」で生じたイライラは、そのまま人にぶつけないように気をつけましょう。怒りの気持ちが強いほど口をつく言葉もきつくなり、その言葉によって「思い出し怒り」をさらに強めてしまいます。聞かされた相手は毒を吐かれたような気持ちになり、とても不快に感じてしまうでしょう。話を聞いてくれる相手に対しては、たとえ家族や仲の良い友だちであっても、礼をつくすようにしましょう。そのためにも、他人への相談は冷静になってからにすることです。怒りの感情が落ち着いてから話を聞いてもらうのが、最低限のマナーです。
「思い出し怒り」対策法3. リセットにおすすめの「流水イメージ法」
清らかな小川に葉っぱが流れてきます。葉っぱの上にそっと「怒り」を乗せて流してしまいましょう
「目の前にきれいな小川が流れている様子をイメージしましょう。その小川に上流から大きな葉っぱが何枚も流れてきます。
今抱えている怒りの感情のかたまりを胸の中から取り出し、流れてくる大きな葉っぱの上にそっと乗せてみましょう。葉っぱに乗った怒りのかたまりは、さらさらと下流に流れていきます。葉っぱは次々に流れてきますので、気のすむまで何回でも乗せていきましょう」
怒りの感情は否定せず、上のようなイメージトレーニングを活用しながら受け流していくのが、おすすめです。繰り返し行うと、怒りの受け流しが上手にできるようになると思います。
怒りの感情と距離を置き、冷静さを取り戻したら、何が自分を不快にさせているのかを考えてみましょう。すると、「思い出し怒り」にとらわれてただイライラしていたときより、冷静に自分の心と向き合うことができるようになると思います。