寿司

スシローは本当に悪質だったのか。消費者が“まだ”知らない「おとり広告」騒動の裏側【回転寿司評論家が解説】(3ページ目)

回転寿司チェーンのスシローは6月9日、消費者庁から「おとり広告」による景品表示法に基づく措置命令を受けた。しかし、それから1カ月余りで「半額ビールキャンペーン」でも問題が発覚。誤解を招く広告表示で物議を醸すスシローについて、回転寿司評論家が解説する。

米川 伸生

執筆者:米川 伸生

寿司ガイド

実はどこでも触れられていない「おとり広告」騒動の裏側

あと、これはどこでも触れられていないが、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」528円(税込)は数百万皿が売れたと聞いている。「鮨し人」監修の寿司はオペレーションがとにかく複雑で、普通の寿司を提供するのに比べれば10倍くらいの手間がかかり、その分値段も高い。

他の大手チェーンではとても提供する気にならないだろうが、スシローだからこそできる商品の象徴的な存在で、おいしさの面での差別化を圧倒的にすることを重要視している。それをも提供中止にせざるをえなかったのは苦渋の選択だろう。その証拠に110円のうには、キャンペーン開始から7日目の2021年9月14日に販売停止を決めているのに対し、鮨し人流は11日目の2021年9月18日からの販売停止となっている。つまりギリギリまで粘っていたということだ。この4日間の差に在庫の逼迫具合が垣間見えてくる。

とはいえ、寿司業界では「売り切れ御免」だから商品がなくなっても仕方ない、というのが当たり前の認識になっており、これが「おとり広告」として問題になる時代なのだと関係者も初めて知ったのではないだろうか? 今回のことで業界慣習は一般消費者には一切関係ない、ということだけははっきりした。

次ページ:まだ終わらない……スシローに起きた2つ目の問題
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