寿司

スシローは本当に悪質だったのか。消費者が“まだ”知らない「おとり広告」騒動の裏側【回転寿司評論家が解説】

回転寿司チェーンのスシローは6月9日、消費者庁から「おとり広告」による景品表示法に基づく措置命令を受けた。しかし、それから1カ月余りで「半額ビールキャンペーン」でも問題が発覚。誤解を招く広告表示で物議を醸すスシローについて、回転寿司評論家が解説する。

米川 伸生

執筆者:米川 伸生

寿司ガイド

回転寿司チェーンの「スシロー」を展開するあきんどスシローが、消費者庁から「おとり広告」による景品表示法に基づく措置命令を受けたのは6月9日のこと(※1)。それから1カ月余りでまたもや「生ビールジョッキ半額キャンペーン」で問題を起こしてしまった。一度ならず二度までも、と世間では騒がれているが、回転寿司の専門家の視点からこの件を解説したい。
スシロー

度重なる「広告表示問題」が物議を醸すスシロー

 

明らかになった「おとり広告」の実態

まず、「おとり広告」が指摘された昨年の「新物!濃厚うに包み」、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」、「冬の味覚!豪華かにづくし」の3件であるが、ほとんどの店舗で販売をしていない日があり、会社からの指示で販売停止が決定されていたことが露見している(※2)。新物濃厚うに包みに関しては2021年9月8日~9月20日まで、鮨し人流3種盛りは同時期に『数量限定』として販売、「豪華かにづくし」は2021年11月26日から12月12日までのキャンペーンだった。うにはキャンペーン中盤の3、4日間に販売停止。かにはキャンペーン中盤から期間終了までの1~2週間、販売停止されていた。

回転寿司評論家としては「人気キャンペーンは序盤を狙え!」とでも言っておけばいいのだが、率直な感想としては「まぁ、これってずっとあったことだよね」「ついに指摘されたか」といったところ。これらの人気キャンペーンで店舗販売が途中で停止されていたことは、スシローに限らず他の大手チェーンでも普通にあった話であり、それが消費者庁から措置命令が出るまでに至ったのは、消費者からのクレームがSNSを通じて拡散されたことで放っておけなくなったからでは、と推察している。

長らく回転寿司を食べてきた一ファンとしては、「そりゃ、新物うにが110円(税込)だったら、速攻なくなるよね」としか思わないのだが、実際にこの広告を見てはじめてスシローに行ってみようと思った人も多数いることは確かだろう。楽しみにしていた寿司が売り切れていたならまだしも、販売すらされていなかったと知った時の裏切られ感は半端ない。もう二度と来るもんかと思う人もいるだろう。そのことに関しては企業としての配慮不足を深く実感していただきたい。

>次ページ:「おとり広告」を生んだ? 回転寿司業界の“慣習”
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