食生活・栄養知識

「朝食抜き」は熱中症リスクが上がり危険?熱中症対策に重要な朝ごはん

【管理栄養士が解説】熱中症予防にはこまめな水分摂取と塩分摂取が大切ですが、朝食習慣も重要です。「朝食抜きは熱中症リスクが上がる」という説は、栄養学的にも本当です。その理由と、熱中症対策のポイントをご紹介します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

「朝食抜きで熱中症になりやすくなる」? その原因と理由

熱中症対策に朝食が重要?水分・塩分不足を回避する夏の健康習慣

朝食には、水分と塩分がたっぷり含まれています。熱中症対策にもなります。朝食を食べて1日を元気にすごしましょう!


「朝食を抜くと、熱中症リスクがあがる」という話が話題になっているようです。

熱中症対策としては、水分と塩分が重要ということは、すでに多くの方が知っていると思います。「こまめな水分補給」「適度な塩分補給」は日々耳にされていると思いますが、ここに「朝食」という言葉が出てきて、不思議に感じている方もいるかもしれません。

実は、朝食抜きは知らず知らずのうちに「水分を控えている」状態に近くなってしまうのです。栄養学的な視点から、詳しく解説しましょう。
 

1日2.5Lが入れ替わる体内の水分! 摂取量の内訳は?

成人男性を例にすると、体成分の60%は水分です。このうち、1日で2.5Lが入れ替わっていると言われています。

まずは、1日に体に入ってくる水について見てみましょう。大まかに、 
  • 食品から摂る水……1000mL
  • 飲料水から摂る水……1200mL
  • 代謝水から摂る水……300mL
と考えられています。代謝水とは、摂取した食べ物が体内で分解されるときに発生する水のことです。

一方で、1日に体から出ていく水を見てみましょう。
  • 尿として出ていく水……1500mL
  • 便中に含まれて出ていく水……100mL
  • 呼気に含まれて出ていく水……300mL
  • 主に汗として皮膚から出ていく水……600mL
と言われています。
 

ごはん・パン・肉・魚……意外な食品からも摂れる水分

ここで確認したいのは、実は「食品から1000mL」の水分が摂取されているという事実です。飲料水は別になっていますので、この食品に含まれるものは、いわゆる「食事」、米やパン、肉、魚、野菜など、料理に含まれる食材です。

普段、見慣れた食材や料理にこんなに水分が含まれているとはにわかには信じがたいと思いますが、実はけっこうな水分が含まれています。

例えば、ごはん(米飯)は100gあたり水分は60g。実に60%が水分です。カリカリに感じられるフランスパンでも100gあたり30gが水分です。みずみずしいフルーツ・例えばスイカは100gあたり89.6gまでもが水分です。このように意識していないにもかかわらず、食事を食べることで水分をしっかり摂ることができるのです。
 
成人男性の場合、1日1000mLの水分が食品から摂取されています。1日3食で割れば、1食350mL弱になります。朝食を抜くと、それだけで350mLの水分を飲まなかったことと同じ状態になってしまいます。起床後、最初の食事を抜いてしまっては、厳しい暑さで脱水になるのも無理もありません。
 

熱中症対策に身につけたい朝食習慣……猛暑を健康的に乗り切るために

熱中症対策には「水分と塩分」と言われるように、塩分も大切です。

食品から1000mLの水分を摂取する際、味付けに使用する調味料には食塩も多く含まれています。食事を食べることで調味料として含まれる塩分も無理なく摂取することができるため、水分と塩分補給を同時に行うことができます。
 
このように、食事は水分・塩分を摂取するのに大事な役割を果たしています。暑い季節は起き抜けに食事をする気になれない、という人もいるかもしれませんが、まずはバナナ1本からでもOKです。また、具体的なオススメ献立例は「熱中症対策に有効な朝食とは…和食・洋食の簡単献立例」でも詳しくご紹介しています。夏こそ朝食習慣を身につけて、健康的に暑さを乗り切ってください!

■参考
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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