始末に困る「濡れた折り畳み傘」の居場所になる珪藻土製傘立て

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soil「アンブレラスタンド シングル」3080円(税込)。色はホワイト、ピンク、グリーンの3色。サイズは直径約82mm×高さ約110mm。

soilの「アンブレラスタンド シングル」は、その全体が珪藻土で作られた、折り畳み傘専用の傘立てです。珪藻土を利用した傘立ては、いろいろなメーカーから販売されていますが、その多くは、従来の傘立ての“底”の部分に珪藻土の板を敷いて、傘から落ちる水滴を吸収するタイプ。一方でsoilの傘立ては、シングルタイプの他、長傘などを立てられる3本収納タイプや6本収納タイプなど、その全てが珪藻土で作られたもの。
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真っ直ぐな円筒形で表面が円滑だから置き場を選ばずに使える。ほとんどの折り畳み傘が入るサイズで作られている。

このシングルタイプにしても、濡れた折り畳み傘をそのまま差し込んで使うことができるため、傘が広がらず、玄関で場所を取りません。傘の側面についた水滴も素早く吸収してくれるので、玄関の床や他の物を濡らす心配も少なくて、筆者はとても重宝しています。折り畳み傘用ではあるけれど、傘の先端をこのアンブレラスタンドに差し込んで壁に立て掛けるようにすれば、長傘に使えるのも気に入っています。

もちろん、傘をきちんと乾かすには、ちゃんと開いて干す必要があるのですが、その前の、ざっと水滴を落として、開いて干せる状態にするのに、この傘立てはとても使えるのです。帰宅時の折り畳み傘の置き場には困っていたので、本当に助かっています。

soilは、この「アンブレラスタンド」以外に、珪藻土のバスマットなどでも人気のメーカーです。他のメーカーに比べて、価格が高いにもかかわらず売れています。同じ珪藻土を使った、同じ用途の製品なのに、差が出るのはなぜなのか、その秘密を、soil株式会社代表取締役社長 CEOの石動博一氏にうかがいました。
 

手作りだからこそ可能な円筒形のデザイン

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インタビューに応えてくださったsoil株式会社代表取締役社長 CEOの石動博一氏。昭和35年金沢生まれ。株式会社イスルギの左官技術を活かし、2015年にsoil株式会社を設立。

ーー製品の一部に珪藻土が使われている他のメーカーの傘立てと、全体を珪藻土で成形する「アンブレラスタンド シングル」では、構造自体が違いますが、これはなぜなのでしょう。

石動:珪藻土を使った製品は世の中にいろいろありますが、そのほとんどは機械で作られています。なので、平たいものとか四角いものなど、成形できる形が限られています。うちでは、手作りで、水で練った珪藻土をシリコンの型に入れて作っているので、複雑な形が作れます。それに、機械生産だと、加工した後に圧力をかけて表面に穴を空ける作業が必要ですが、手作りだと、珪藻土が持つ微細な穴がそのまま活かせるんですね。だから珪藻土の持つ吸水性を最大限活かすことができる製品を作れるわけです。

ーーそういう技術は、どのようにして得られたのでしょう。

石動:うちはもともと、江戸時代から続く左官屋で、長年、珪藻土を扱っていました。新建材や高層ビルが流行した1970年代にシックハウス症候群などが問題になり、「昔の日本家屋のように壁が呼吸するようにできないか」ということから、珪藻土が建材として改めて注目されるようになりました。ずっと珪藻土を扱ってきたという背景がありましたし、壁に装飾模様を付ける時など、型を使って作った石膏や漆喰のレリーフを貼り付けて作る「型起こし」という技術がありますが、今回のアンブレラスタンドにも、そのノウハウが活かされています。
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このシリコン製の型に、水で練った珪藻土を入れて成形する。真っ直ぐな円筒形なので、抜くのに高い技術を要する。

ーーアンブレラスタンドには、継ぎ目などが全くないですよね。

石動:はい。型から抜いたら、ほぼ完成ですから、一体成形で継ぎ目はありません。真っ直ぐな円筒形なので、これをキレイに抜くのにも技術が必要になります。

ーーこの真っ直ぐの円柱状の形も、玄関などに置いた時に邪魔にならず、でもキレイですね。

石動:デザインに関しては、プロデュースしていただいた、アッシュコンセプトさんの強いこだわりもありました。左官の技術と、珪藻土という自然素材の風合いを引き立てるために、余計な装飾を施さないというブランドの方向性があるんですね。
 

左官としての経験が珪藻土を有効に使った製品を生み出す

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soilの作業風景。珪藻土を使った立体の製品は、手作りによる成形が行われている。

ーー珪藻土自体の品質や、製造過程での工夫による吸水性能の違いなどはあるのでしょうか。

石動:例えば、左官の経験から、800度くらいに焼いた珪藻土原料が、吸水性・放湿性ともにちょうどいいということが分かっています。焼成温度が高すぎると、セラミックのように穴が大きくなってしまって、中に水が留まらず、底面から水が漏れてしまったりします。また、珪藻土にも種類がありまして、吸水に適したタイプや、調湿に優れたタイプなどを、製品の用途によって使い分けています。
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soil「ジェム バスマット リバーシブル スタンダード」1万2100円(税込)。両面で使えるため、使用年数が長いリバーシブルタイプ。バスマットはsoilの人気商品のひとつで、珪藻土の性能を肌で実感できる。

ーーバスマットなども手作りなんですか?

石動:手作り品もありますが、一部、機械で作っているシリーズもあります。いずれの製品も、割れなどの製品不良があった場合、無償交換することを前提にして、吸水性の高い状態で製品化しています。ちなみに、珪藻土製品は、もともと割れやすいんです。珪藻土の含有量が多いほど割れやすい。でも珪藻土を減らして他の含有物を増やすと、吸水性は損なわれる。業界では、吸水性は多少犠牲にしても丈夫に作る方が主流なのですが、soilは吸水性を優先した配合で製造しています。

ーー吸水性が劣ると、その分、乾きにくくもあるということですか?

石動:そうなります。内部に水が溜まっている時間が長くなったり、底面から水が出てきたりしてしまうので、その分、カビなどが生える可能性も高くなりますね。

ーー「アンブレラスタンド シングル」は3色のカラーバリエーションがあります。色はどのように決めたのでしょう。

石動:ホワイトとピンクは、もともとの珪藻土の色です。産地によって珪藻土の色が異なっていて、ホワイトが秋田産でピンクは能登産です。アッシュコンセプトさんの方針も、なるべく素材を活かしたデザインにするということなので、素材そのものの色を使いました。ただ、ホワイトとピンクだけだと少し甘い感じになってしまうので、できるだけ自然に近い色をと考えて、グリーンも展開しました。グリーンは、珪藻土に浅葱土という自然素材を混ぜて色を作っています。

ーーだから、どこに置いてもすんなりと馴染むのですね。今回は、ありがとうございました。

参考
soil「アンブレラスタンド シングル」(https://koncent.jp/view/item/000000001723
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