昨今の気候変動の影響を受け、雨量は多く天気予報も難しい。一方で、通勤や子ども・高齢者の送迎、買い物などでクルマに乗り外出しなければならないことだってある。どう対応したらいいだろうか? ケース別に考えてみたい。
「豪雨」に遭遇したらどうする?
最も大切なのは古今東西、ずっと大切にされてきた『観天望気』(かんてんぼうき)。クルマに乗っていても周囲を見れば雲の状況は誰でも判ることだろう。特に豪雨は発達した黒い雲の下で降る。強い雨が降っていたら、その下は霞んで見えない状況。運転中にそういった雲の下に入っていくときは、前方視界が遮られるような豪雨に遭遇することを想定しておくことだ。
対応策は2つ。このタイプの豪雨は長続きしないが、豪雨の中を走ると水たまりでスリップしたり、コントロールを失った他車にぶつけられたりすることもある。降っているのが雨である場合、ワイパーを「高速」にしても前方が見にくい状態であれば「避難」が適切。一時的にクルマを止めてやり過ごすことを推奨しておく。高速道路ならSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)、一般道なら道路以外でクルマを安全に止めておける場所ならどこでもOK。
もう1つ、7月ごろまでは豪雨に“ひょう”が混ざることも。最近我が国の気象もパワフルになっており、ゴルフボール大のひょうまで降る。この状態でクルマを走らせていたらフロントガラスは割れるし、止まっていたとしても屋根などボコボコになってしまう。数日以内に近隣でひょうが降った、また凶悪な黒雲を見つけた場合には、ぜひとも屋根のある場所で待機してほしい。基本的に、ひょうが混じるのは降り始めの10分だ。
「雷雨・落雷」のときはどうする?
雨に雷も混じっていたらどうするか?一番安心なのはクルマの中(※)。こう書くと「クルマに雷は落ちない」と思うだろうけれど、そんなことない。それほど多いケースではないものの、クルマに雷が落ちることだってある。落ちたときの状況を調べてみると、かなりの音と発光現象を伴うらしい。ただ車内は何の影響もなく、当然ながら乗っている人もダメージなし。
落ちた雷はボディ外板に沿って流れ、金属ホイールやボディサイドから再び地面に落ちるという。ボディ外板は金属のため極めて電気抵抗が少なく、スムーズに電気を地面に流してくれる。避雷針のような役割を果たすということだ。したがって、雷のときは車内に入れば安心だ。むしろ雷だからと怖がって車外に出るほうが危険。とにかく安心してクルマの中に入ればいいし、豪雨でない限り普通に走っていればいい。
道路が「冠水」したらどうする?
ワイパーを早い速度で動かせば“前が見えないほどの豪雨”でこそないけれど、道路が冠水しているときはどうしたらいいだろうか。他のクルマも通過していれば、走れるかどうかは自分のクルマの「車高」で決まってくる。トラックなどの大型車は、路面からエンジンなど冠水したら走行不可能になるような機器類までの「距離」が大きい。多少の水深であれば走れてしまう。一方、小さいクルマは厳しい。
そんなときは、自分が運転しているクルマを考えていただきたい。最近人気のSUV(悪路も走れるようなタイプ)なら車体が高い位置にあるため強い。逆に軽自動車などエンジン搭載位置が低いタイプだと、機器類も冠水しやすく故障してしまうため、迂回を考えること。
いずれにしろ水溜まりを通過するときはゆっくりと。波を立てるような速度だとトラブルの原因を作ることになる。
豪雨シーズン前に「交換」を検討したいパーツ
水たまりができている道を走っている場合、通過時にハネた水が車体の下側に「ゴゴゴゴゴ!」と当たるようになったら危険信号。60km/h以上出すとタイヤが水に浮いてしまい、コントロールできなくなる。ミゾが少なくなったタイヤだと、さらに水ハケ性能は落ちるので、自分のタイヤをチェックし、ミゾが減っていると思ったら豪雨が気になるシーズンを前に交換しておくと安心だ。同じく、ワイパーゴムを交換していないと前方視界の確保が難しい。ワイパーゴムはカー用品店で販売しており簡単に交換できる(左右2つ分で1500円程度)。せっかく交換するなら撥水ワイパー(水を弾いてくれる)などを選べば、雨の日の運転も楽しくなる。フロントガラスのギラギラとした反射を抑えてくれる窓ガラスクリーナーも使えば、クリアな視界を確保することができるのであわせて検討をおすすめしたい。
※:雷に遭遇した場合は安全な空間へ避難(気象庁)