「制服」は好き?嫌い?
ここ数年、話題になることも多いジェンダーレス制服。All About 編集部が実施した「制服について」のアンケート(調査期間:2022年4月14~15日)によれば、制服については「好き」と回答した人は5割程度。にもかかわらず「制服は必要」と答えた人は6割超。嫌いだけど必要とする人が、一定数いるということだ。All About
さらに近年増えているジェンダーレス制服に「共感できる」と回答した人は8割を超えた。
「制服が好き」な理由も人それぞれ
制服が好きだった人たちの理由としては、自分が目標としていた学校に受かり、その学校の制服を着るのがうれしかったからという素直な意見が多かった。「今しか着られないものだから」
「制服を着ると気持ちが引き締まる」
学生らしい実直な声である。さらに実質的な問題をあげる人たちも多い。
「毎日服装を考えずにすむから」
「私服だとお金がかかる」
「私服だとクラスメイトからマウントをとられる」
このあたりが、制服が好き、必要と考える人たちの主な理由だろう。だが制服好きからも疑問が出るのが、制服についての学校の細かい規則だ。
寒くてもコートを着てはいけないとか、スカート丈の規定とか。さらには下着の色まで決められるのは人権の観点からしても納得できない。
「制服が嫌い」な人たちからは辛辣な意見が……
制服嫌いからは、なかなか辛辣な意見が多い。「その学校に所属しているというどうでもいい情報を体に張りつけられているような拘束感があって不快だった」
「ブラウスは毎日洗えてもスカート等は洗えない。衛生上、どうかと思っていた」
「たかだか3年間のために高い制服を買うのが納得できない。業者と学校関係との癒着も問題視される今、なぜ制服が必須なのかわからない」
「みんな同じ格好というのが気持ち悪い。個性がない」
中学生、高校生にもなれば、自分の好きな格好をしたいと思うものだ。他者と同じであることを強要されるのが苦痛だと感じる人がいても不思議はない。
自分が着るものを「自分を表現するもののひとつ」ととらえるか、「制服はファッションではない。学生という記号のようなもの。着たいものは学校の時間外で着ればいい」ととらえるかによっても意見は異なってくるだろう。
ただ、制服にはさまざまな問題があるのも事実。自由が拘束されること、素材が肌に合わず苦しむ子がいること、気温への対応が困難なこと。さらに、#WeToo Japanが2018年に行ったインターネット調査によれば、中学生で「体を触られる」被害は、私服の場合が約3割、ブレザーやセーラー服などの制服を着用していた場合が約5割という結果が出ている。つまり、制服着用時のほうが被害率が高いのだ。ある種の性的嗜好がからむのだろう。
制服があると貧富の差は確かにわかりづらいだろう。制服を義務化している世界各国の主な理由もそこにある。「いじめ」を防ぐためだ。
だが制服さえあればいじめがなくなるという数字的な根拠はない。さらに着方による細かい規定によって、教師も生徒も息苦しくなっているのが現状ではないだろうか。
「高校時代、スカート丈のチェックがものすごく厳しかったんです。今考えれば、スカート丈なんて短くても長くても、機能的であれば問題ないと思うんだけど。制服はあってもなくてもいいけど、制服によって校則が増え、教師も無駄な時間をとられ、生徒も嫌な思いをする。そこに問題があるような気がします。しかも靴下の色が決まっていたりワンポイントもダメだった。バーゲンで買った靴下がはけず、学校指定の店で高い靴下を買わされていた。貧富の差が云々というならそういう制限も撤廃してほしい」(30代女性)
「私はスカートが嫌いだったから、私服の高校に行きたかったんですが、受験に落ちてしまって。しかたなく制服のある学校に通ったんですが、好みの問題だけではなく冷え性だったから冬場のスカートはつらかった。しかもタイツ厳禁なんですよ。女性教師はパンツルックなのに、どうして生徒は寒空の下、タイツもはけないのか理解に苦しみました」(20代女性)
女性だってパンツ(スラックス)をはきたい。そんな意見が多くなったため、現在は女性もパンツを選べるようになりつつある。ジェンダーレス制服についても、多くの人がさまざまな意見をもっているようだ。
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