結婚しても母となっても、自分らしくおしゃれをしたいと思う人がいるのは当然のことだ。それを他人がとやかく言う必要はない。だが、現実としてはあれこれ噂を立てられて困惑することもあるようだ。
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ネイルもメイクも好きだから

子どもができてからは、大好きなネイルもメイクもする時間がなかったというハルナさん(40歳)。ひとり娘が小学校に上がってから、ようやく自分自身に目を向ける時間が少しもてるようになった。

「共働きですから、忙しいのは変わらないけど、最近は週に2日はリモートワークになったので通勤時間がなくなった。近所にネイルサロンができたので3週間に1回くらいは行けるようになって、気分が上がります」

さらにプチプラのメイク用品を使って、アイメイクにも凝っている。マスク必須の今の生活の中で、「目元のケアとメイクが重要だなと思って」とハルナさんは研究に余念がなかった。ところがこれに目をつけたのが、同じ敷地内の別棟に住む義母と義妹だった。

「夫の妹は結婚したけど離婚して実家に戻ってきたんです。子どもがいないので最初は働いていたんですが、コロナ禍で失業、今は週に数回、アルバイトをしている。義母とつるんでは、うちの様子をうかがっているんですよね。これがプレッシャーです」

ネイルサロンの帰りにばったり義母に会うと、「そんな爪で料理ができるの」と言われた。伸ばしているわけではないので、料理にはまったく差し支えないのだが、爪に色を塗ること自体が義母の「常識」では信じられないらしい。さらに、義妹が「ネイルサロンってお金がかかるんだよ」と言ったから、義母はカッとなったらしい。

「夫がいきなり、『かあさんが、そんな爪で大丈夫かって言ってたよ』と。大丈夫かってどういう意味なのか尋ねたら、料理するときに体に悪いものが入っちゃうんじゃないかって。笑いましたね。熱湯に爪を漬けるわけじゃないし。『高いんだって?』とも言われたので、入れ知恵されたなと思いました。そのネイルサロン、とても安いんですよ。もちろん私のお小遣いで行っている。気分転換にこれくらいはいいでしょと言ったら、夫も『確かにそうだよね』と納得していました。夫は義母に言われるとそれに影響され、私が説明すると納得する。そういうことの繰り返しなんです」

優柔不断、妻と母、どちらも信じる夫だから、ハルナさんはより説得力をもって話すようにしているという。
 

義妹が噂を振りまいて

アイメイクに関しても同じだった。最近、化粧が濃い、ハルナさんは浮気しているらしいと噂が立った。

「私がいるのは昔から代々で住んでいる一家が多い住宅地。夫の家もわかっているだけで4代前から住んでいる。周りもみんなそんな感じなんです。噂が噂を呼んで広まっていくことはよくあるので、私は特に気にしていなかったけど、夫は『最近、派手だからみんなが心配してるよ』って。みんなって誰っていう話ですよね」

子どもが幼稚園のころから知っているママ友から、浮気の噂を流したのは義妹だったと聞いて、ハルナさんはびっくりした。まさか身内から出た話だとは思っていなかったからだ。これは黙認できないと、彼女は母屋に乗り込んでいった。

「浮気しているってどういうことですか、何を根拠にそういう噂を振りまくんですかと義母の目の前で言ってやりました。義妹は『だって、そういう噂だもん』と。みんなあなたから聞いたと言ってますよ、暇すぎるんじゃないですかと言って、反応も待たずに帰ってきました。夫はその晩、義母に呼びつけられたみたい。あんまり事を荒立てないでほしいと言っていましたが、私の気持ちはどうなるの、あなたは浮気した妻をもった夫ということになってるんだよと言ったら、そうか……と青ざめて。そこまで考えていなかったみたい(笑)」

本当は引っ越したいのがハルナさんの本心だ。近所づきあいが疎遠な地域のほうがずっと気楽に生きられる。だが夫は今の家から動くつもりはない。

「義父はおおらかないい人だったんですが、6年前に亡くなりました。義母がひとりで暮らしているときはそれなりに距離感があってよかった。でも義妹が戻ってきてから義母は味方を得たと思ったのか、私への風当たりが強くなってきて。それでも私は私と割り切って生きていくしかないんですけど、身内から他人にデマを流されるのは正直、きついですね」

家庭内で「闘い」が起こるのは精神的につらいだろう。いつか状況は変わるのか、変えることができるのか。「大変だけど闘うしかない」というのがハルナさんの今の気持ちだそうだ。
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