今後も地震や豪雨などによって大規模停電が発生する可能性があります。キャッシュレス決済が当たり前のようになった現在、現金はどのくらい用意していたらいいのかについて解説したいと思います。
災害発生時に“無力”になるキャッシュレス決済
通信インフラが停止すると、ATMも利用できない事態に
当然、通信インフラが途絶えたATMからは出金もできず、普段、電子マネーで生活していて現金の持ち合わせがない人が途方に暮れる、というような事態が発生しました。
幸いなことに48時間でそのほとんどの電力供給は回復し、決済システムは復活しましたが、実際に北海道に住んでいる友人に聞いたところ、このときほど現金の重要性が感じられたことはない、というような状況だったといいます。
「万札・釣銭不可」の可能性も!? いざというときの「現金」の備え方
東日本大震災の被災地でも多数の発電所が被災したため、広域停電が各所で発生し被災地は数日間、闇に包まれていました。スーパーやコンビニなどでもレジが使えず、現金のみで対応しているところが多かったと記憶しています。津波を逃れて着の身着のままで避難所に逃げてきた被災者も多く、日用品など不足しているものを買い出しに行く被災者の姿も見られましたが、スーパーやコンビニなどでは釣銭の手間を考え、10円、100円の単一価格で商品を提供している現場も目撃しました。
日本の電力会社の供給回復に至るまでのスピードは、世界に比しても早いとされています。しかしこのときは東北エリアの発電所の施設のみならず、送電線や電柱などに同時多発的に遮断箇所が発生したため、復旧が困難な状況でした。
被災直後の避難所では基本的に支援は無償なので、実際にはそれほど現金を消費するような機会はあまりありません。ただし数日後、店舗が開くようになって買い出しに行くときなどに「現金のみ使用可」という状況は十分に考えられます。さらに「一万円札使用不可」「釣銭不可」の可能性もあるため、避難袋に一定量の現金を用意しておいたほうがよいでしょう。その際、必ず千円札や100円、10円の硬貨など、紙幣と硬貨を用意しましょう。
キャッシュレス決済が使えない状況は最大2~3日続く可能性がありますが、家族で2万円もあれば十分でしょう。
多額の現金保有はリスクにも
大規模災害が発生したとき、家に多額の現金を保有しておくことは大きなリスクにもなります。全て無事に持ち出せる保証はないですし、火災などに見舞われたら灰になってしまうからです。そのため現金は分散して、様々な形で保有する方が安心です。また避難所は安全な場所と思われがちですが、実は盗難も多く発生しています。困窮した人々の前で、多額の現金を見せるような行為はやってはいけません。
普段から少額の紙幣や硬貨をある程度持ち歩くこと。そして避難袋には現金を用意しておくようにしましょう。現金や証券などの貴重品は、耐火金庫などを利用して保持しておけば、家屋がたとえ被災したとしても、復旧後の帰宅時に取り出すことが可能になるでしょう。