妻が不機嫌でつらい……「夫への不満」ではなく「不安」が原因?
夫婦関係における小さな「不安」が重なれば「不満」に変わり、「不機嫌」になってしまいます。
結婚前はやさしかった妻が、最近不機嫌で困る……。何もしていないのにキツい言い方をされることも増え、「妻がすっかり変わってしまった」と戸惑う男性は少なくないかもしれません。
しかし、人への接し方が変わってしまう場合、それなりの理由があるものです。
夫が残業続きで忙しく、妻が専業主婦やパート勤務の場合、家事や育児は妻がメインで担っている家庭が多いでしょう。だからといって、夫が「家のことは全部君に任せてるから」「仕事が忙しいから、家のことは分からない」といった態度で、家のことに全く無関心でいると、「2人の家のことだから相談したい」「全部ひとりでできるだろうか」という妻の不安は、じわじわと蓄積していきます。
意外と知られていませんが、小さな「不安」は、つみ重なれば「不満」に変わっていきます。
妻側の家事負担が増えすぎていたり、ワンオペ育児が続いていたりすると、「なんでわたしばかり!」「もっと協力してくれてもいいのに」と、妻の心の中には次第に負の感情がわいていきます。やさしくありたいのにそうできず、態度がきつくなり、キツい言い方も増えてくるかもしれません。不機嫌な妻の態度に、夫側は「何もしていないのに、なぜ?」と戸惑うこともあるようです。
しかし、このタイミングで夫が「なんで最近不機嫌なの?」「そんなにツンツンするなよ」などと言ってしまうと、妻側は「やっぱり私の苦労を何もわかっていない!」という思いをますます強め、さらに夫に対して心を閉ざしていってしまいます。
結婚した夫婦であれ、一度関係がこじれてしまうと、修復にはかなりの努力が必要になります。なぜかわからないけど妻が不機嫌だと感じたら、夫婦関係や家庭のあり方に何か問題がないかを考えて、一緒に前向きに進んでいけるように対処していくことも大切です。
妻の気持ちに近づくために……心がけたい2つの基本的態度
とはいえ、食事をおごったりプレゼントを贈ったりすれば、妻の機嫌が直るわけではありません。人の心はそんなに単純ではないのです。真摯な態度で接することが大切です。妻がすっかり不機嫌になってしまった場合、夫はどのような態度で接していくとよいのでしょう? 基本となる2つの方法をご紹介します。
1. 怒っている様子を恐れずに、「1番目の感情」を聞かせてもらう
相手の不機嫌な様子を見ると、それ以上気を荒立てないようにそっとしておきたくなるもの。でも、不機嫌な人は理由なくそうなっているわけではありません。心理学では、怒りは「2番目の感情」と言われます。ツンツンして見える妻の心の奥に、どんな感情があるのか想像してみましょう。「私ばっかり、と感じてつらい」「気持ちを分かってもらえなくて切ない」、たとえばこうした感情があるのかもしれません。
つらさ、せつなさ、落胆、悲しさ……このように怒りの奥にある感情を「1番目の感情」と呼びますが、こうした気持ちをぜひ聞かせてもらいましょう。「いつもより口数が少ないね。何かあったの?」「気が沈んでるようだけど、僕が何か気づいてないことがあるんじゃないかな?」こんな聞き方をすると、妻の「1番目の感情」を引き出しやすくなるでしょう。
怒りたくて怒っている人はいません。間違っても、不機嫌な態度を一方的に責めないようにしましょう。
2. 「もっとこうしてほしいこと」をざっくばらんに教えてもらう
人にはそれぞれ、得意なことも苦手なこともあるもの。だからこそ、互いに「もっとこうしてほしいと思うことがあれば教えてね」とざっくばらんに伝えあい、意見を聞かせてもらうと夫婦関係はうまくいきます。
たとえば、家事には手順やセオリーがあります。掃除機をかけた後には、部屋の四隅のほこりもとる。食器を洗った後には、シンクの汚れも拭く。ごみを捨てた後には、次のごみ袋をセットする。こういった手順やセオリーは、いつも家事をやっている人でないと気がつかないことが多いものです。
だからこそ、家事を手伝った後には「やれやれ終わった」などと一人で満足せずに、妻の意見を聞きましょう。「皿を洗ったけど、見てくれる? 他にも洗っておいた方がいいところあるかな?」というように声をかけると、妻も「もっとこうしてほしいこと」を自然に伝えることができます。
不機嫌さは愛情切れ前の警告サイン? 長続きする夫婦でいるために
以上お伝えしたように、相手に不機嫌な様子が見られたときには、怒りの奥にある「1番目の感情」を聞かせてもらうこと。そして、「もっとこうしてほしいことがあれば教えて」と伝えあい、相手の意見を聞くことです。この2つの基本を意識していくことで、蓄積した不満にも解消の糸口ができ、お互いに対して感謝とやさしい気持ちが再び増えていくと思います。夫婦が末永く仲良く暮らしていくには、「愛の電池」を満たし合うことが必要だと言われます。妻の不機嫌が長引いている場合、不安から不満が生まれ、不満から不機嫌になってしまう日々の連続で、「愛の電池」が切れかけているのかもしれません。ぜひ上でお伝えした2つの方法で妻の気持ちに近づき、夫婦の絆を強くしていきましょう。