人間関係

ご主人、奥様、彼・彼女…SDGs時代にアップデートすべきNGワード

【公認心理師が解説】SDGs意識の高まりで、今まで自然に使っていた言葉がNGワードになることも……。偏見や悪意がないつもりでも、言葉一つで見識を疑われてしまうこともあります。相手を不快にせず、周りにも失礼にならない適切な言い換えワードを、円滑な人間関係に役立ててください。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「考え方も古い人…?」 SDGs時代、何気ない一言で誤解されることも

職場で話し合う女性2人

使い慣れた言葉で思いがけず見識を疑われてしまうことも。注意しましょう

価値観や特性は人それぞれ。家庭内や限られた友人関係内では、お互いに似た価値観を持っていることも多いかもしれませんが、職場などの公の場では、それぞれが異なる多様な価値観を持っていることを前提に考えることが大切です。

特に、現代はSDGs(持続可能な開発目標)に基づいた意識や活動も重視される時代。ジェンダーによる差別や不平等な社会をなくしていくことは、社会や企業の目標にも定められています。

そして、SDGsをなんとなく理解できているつもりでも、日常の何気ない会話の中で、長年かけてしみついた古い価値観が表れてしまうケースもあります。ちょっとした言葉の使い方で、相手を不快にしてしまったり、自分の立場を悪くしてしまったりするのは避けたいものです。

SDGs時代に逆行する「一昔前の感覚」があらわれやすい要注意ワードとは? うっかり使われがちなNGワードと、人間関係に角を立てない、適切な言い換え言葉をご紹介します。
 

「ご主人・旦那さん・奥さん・うちの主人・家内・嫁」は避けるべき

ご主人、旦那さん、奥さん、うちの主人、家内、嫁……。今も気心の知れた仲間内など、プライベートでもよく使われる言葉だと思います。しかし職場などの公の場では、これらの言葉を使うのはできるだけ控えた方がいいでしょう。

「主人」「旦那」対「奥さん」「家内」「嫁」という言葉には、「夫が家の主、妻は家の奥に控えているもの」という夫婦の上下関係の意味があるため、男女平等社会の流れに逆行する古い表現だと受け取られてしまいます。
 
「ご主人は」「奥さまは」と相手に対して使うのはもちろんのこと、自分自身が「うちの主人が」「家内が」「嫁が」などと言うのも、できるだけ控えたほうがいいでしょう。ありふれた言葉な一方、現代では少しひっかかるという人も多いため、何気なく使わないように気をつけたいものです。
 

言い換えは「夫」「妻」。相手には「パートナーの方」「お連れ合い」

では、上記の「ご主人」「旦那さん」「奥さん」「嫁さん」等などの代わりに、配偶者のことをいう時にはどのような言葉を使えばよいのでしょう。配偶者同士であれば、お互いを「夫」「妻」と言うことができますが、相手の配偶者を指すときに悩む方も多いと思います。SDGs時代の言い方としては「パートナーの方」「お連れ合いの方」という言葉がお勧めです。
 
他人から「ご主人(奥さま)と話し合ってみてはいかがでしょう」などと言われるより、「パートナーの方(お連れ合いの方)と話し合ってみてはいかがでしょう」と言われた方が、スマートに感じられます。自分自身も「パートナー(連れ合い)に聞いてみますね」などと伝えた方が、聞き手は夫婦対等なイメージがして、さわやかに聞こえるでしょう。LGBTQのカップルにも配慮できるジェンダーレスな伝え方です。
 

「彼氏」「彼女」は「付き合っている方」「交際している方」と言い換えを

交際中のカップルについて語る際には、「彼氏」「彼女」、相手には「彼氏さん」「彼女さん」といった言葉を使うのが一般的かもしれません。ですが、このように性別を限定した表現はできるだけ控え、「付き合っている方」「交際している方」という言葉に替えた方がよりよい表現でしょう。
 
たとえば本人がLGBTQである場合、自分のパートナーを「彼氏」や「彼女」ということばでは表現しにくいこともあります。そもそも「彼氏」「彼女」という言葉を多用することで、カップルはすべて「男女交際」だと決めつけるような言い方になってしまいます。「付き合ってる方」「交際している方」ならジェンダーレスな表現で、誰もが使いやすい言葉になります。
 

「どのへんに住んでるの?」はNG! 不快に感じる人も多い居住地の質問

また、SDGsの視点からは外れますが、時代が変わったことで配慮が必要になった話題もあります。その筆頭が、「どのへんに住んでるの?」と住んでいるエリアなどを聞く質問。少し前まではたわいない質問の一つでしたが、今は住んでいる場所を尋ねられるのは何となく怖いと、不快に感じる人が増えているようです。
 
これはインターネット技術の発達による部分も大きいでしょう。検索すれば、一つの地名からでも、Google Earthなどで実際の詳しい様子が見れてしまいます。住所ともなると、住んでいる家の外観や地域の様子も丸見えになってしまうのです。さらには地価やマンションの相場価格などもネットで簡単に見れてしまいます。仮に、「すごいところに住んでいるね」などと褒めたつもりで話をつなげたとしても、相手は個人的なことに触れられて不快に感じてしまうこともあります。相手のプライベートな情報にまでうっかり踏み込みすぎないように、質問には注意したいところです。
 

少しの配慮で円滑な人間関係を! 不必要な質問を慎むことも大切

今回挙げたNGワードは、プライベートな場では今も日常的に使われていると思います。しかし職場などの公の場でこうした言葉を何気なく使うことで、見識を疑われてしまったり、人間関係にわだかまりが生まれてしまうこともあるのです。
 
「口は禍の元」と言われるように、人付き合い、特にさまざまな人が集まる職場や仕事関係の場では、使う言葉をよく吟味し、失礼のない表現を選ぶようにしましょう。不必要な質問はできるだけ慎むことも大切です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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