フランスが学校でのいじめを中学生でも禁錮刑に

日本同様に学校でのいじめが深刻なフランス、加害者を罰する方向へ

日本同様に学校でのいじめが深刻なフランス、加害者を罰する方向へ

2021年12月にフランスの国民議会・下院で、学校でのいじめを犯罪と見なす法案が可決されました。2022年の2月に上院でも採決が行われ、可決、成立する見通しだそうです。

それによると、いじめの程度と加害者の年齢に応じて、3年以下の禁錮刑と4万5000ユーロ以下の罰金刑(約570万円)を科すのだそうです。さらに、被害者を自殺に追い込んだ場合には、10年以下の禁錮刑と罰金15万ユーロが科されます。

フランスでは刑事責任を問われる年齢が13歳以上のため、日本でいえば、中学生以上が該当することになります。
 
フランスでは年間約70万件のいじめが報告されている一方、表面化していないケースも多く、実際には80万~100万人に上るとされています。この数字を日本と比較すると捉えやすいでしょう。日本では、2020年度のいじめの認知件数が51万件。フランスの人口は日本の半数強ですので、非常に深刻な状況というのが数字からもわかります。
 

いじめが”いつまでもなくならない”のは、やっている側の認識の甘さ

私は以前、フランスに在住していたことがあります。もう10年以上も前になりますが、当時、我が子の学校であるいじめが問題視されており、学校で審議がなされていました。今回、学校でのいじめが犯罪になるというニュースを聞いてすぐに、そのことが記憶からよみがえりました。あれから長い年月が経ちつつも、いじめがフランスの社会問題であり続けたのだということを痛ましく感じています。

日本もそうですが、いじめがいつまでもなくならないのは、やっている側の「認識の低さ」が関係していると感じています。上記のフランス時代のいじめも、いじめている側といじめられている側に驚くほどの温度差があり、大きな憤りを覚えたことをとてもよく覚えています。
 
私が行っている育児相談でも、友だちからの仲間外れや無視、暴言などで悩むご家族がいらっしゃいますが、そこから見えてくるのは、被害者がいじめられていると感じていても、加害者の方にその認識がないことが多いということです。
 
「この一線を越えたらいじめ」というような明確な区切りがない分、加害者の子は「そんなつもりはなかった」と捉えていることがとても多いのです。そして親の方も、「子どもたちはやったりやられたりして学んでいく」とか、「なんでもかんでもいじめと捉えてしまうのはおかしい」と考える人たちがいます。
 

フランスの出した結論「加害者に認識させるために罰を使う」

たとえば、
  • 仲間同士で裏で示し合わせたり
  • 1人だけ遊びに誘わなかったり
  • その子の持ち物を隠したり
  • ちょっと仲間外れにしたり
これはいじめでしょうか。それとも、いじめというには「おおげさ」なのでしょうか。もしおおげさなのだとしたら、この感覚が間違っていると私は思っています。あまりにそういうことが散見されるために、麻痺してしまっているように感じるのです。

そもそもトラブルなんてないに越したことはありません。これならOK、これはダメというよりも、どんな仲間外れも、どんな意地悪もない方がいいのです。されて傷つかない仲間外れなどないのですから。
 
認識させるために罰を使う、これが今回フランスが出した結論です。今これを読んで、日本もフランスのように罰の力を使うべきだと感じた方も多いと思います。今やいじめは世界的な問題でもあるため、今後、フランスのいじめの数字がどう変化するかで、影響を受ける国も出てくるかもしれません。今回のフランスの動きは、いじめにおいて加害者の認識を高めることがいかに難しいのかということを改めて示唆しているようにも思います。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。