亀山早苗の恋愛コラム

「元夫」ばかり懐くひとり娘にモヤモヤ…私は心が狭い?離婚後、必死に子育てしたのは私なのに

離婚したら夫婦は他人。だが親子関係は続くものだ。夫に愛想をつかしたからといって、父と子どもの関係を断ち切る権利は、元妻にはないはず。それでも、大事に育ててきた娘が父親を慕うことに、モヤモヤしたものを感じるという女性がいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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離婚したら夫婦は他人。だが親子関係は続くものだ。夫に愛想をつかしたからといって、父と子どもの関係を断ち切る権利は、元妻にはないはず。それでも、大事に育ててきた娘が父親を慕うことに、モヤモヤしたものを感じるという女性がいる。
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夫の悪口は吹き込まなかった

カヨさん(42歳)は、大学3年生のとき、当時つきあっていた男性の子を妊娠。彼は2歳年上の先輩で、当時は新入社員だったがすぐに婚姻届を出して結婚した。彼女は大学を1年休学して復学して無事、卒業。実母の協力を得て、就職することもできた。

「それからも大変でしたけど、夫も若いのにがんばってくれたと思います。本当はそのままもうひとりかふたり、子どもを産んで育てたかったんですけどね」

29歳のとき、夫の浮気が発覚。「オレが今までどれだけ自分の人生を棒に振ってきたと思ってるんだ」という夫の一言で離婚を決めた。

「私と結婚したこと、娘がいることで、彼が人生を棒に振ったと思っているならやり直したほうがいい。シンプルに決断しました。夫は『そういう意味で言ったんじゃない』と必死で言い訳していましたが、もういいと思った。若すぎた結婚でしたから、いつかこんな日がくるんじゃないかと内心、思っていたんですよね」

8歳になった娘を連れて実家に戻った。実家の近所には彼女の妹一家が住んでおり、子どもが3人いたため、娘は彼らときょうだいのように育った。

「夫からは娘に誕生日プレゼントが届くこともあったし、ときおり養育費の足しにとお金が送られてきたりもしました。ただ、急に連絡がとれなくなることもあって……。おそらくつきあっている女性がいるときは連絡を寄越さないんですが、別れると急に娘のことを思い出すのではないかと。ずいぶん勝手だなと思いましたが、娘に夫の悪口を言ったことは一度もありません」

娘が15歳になったころ、急に「パパに会いに行っていい?」と言い出した。もちろんとカヨさんは答えた。もう自分でいろいろなことを判断できる年齢、父親とどうつきあおうが娘の自由だと思っていた。
 

なぜか夫の彼女とも親しくなってモヤッ

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年齢を経るにつれ、娘は父親と頻繁に会うようになった。ときには父親がつきあっている女性と一緒に食事をしたりもしていたらしい。

「大きくなったとはいえ、まだ10代ですからね。父親の恋人に会うのはどうかと思って、元夫に連絡したことがあるんですよ。そうしたら『娘が会いたがるんだ』と。娘に聞いたら、確かにそうだという。父親が母親と別れてから、どういう女性とつきあっているのか気になると。『パパの女性観もちょっと変わってる』と娘は楽しそうでした。夫の恋人である女性も、娘と気が合ったようで、高校生になってからはふたりで出かけたりもしていたんです。さらに娘が18歳のとき、元夫はその彼女とは別れたんですが、娘と彼女はときおり会っている。こういうのってどうなんだろうと私は思いましたね」

とはいえ、18歳になった娘の行動は止められなかった。現在、娘は20歳の大学生だが、父親の元カノ、父親の今カノと交友関係がある。

「元カノに今カノのことを言っちゃだめよと言ったら、『当たり前じゃない。そもそも元カノとはもうパパを介してのつきあいじゃないんだから、言うわけないでしょ』って。しっかりしています。もちろん娘は父親ともよく会っている。正直言うと、一緒に住んでいる私に、娘はほとんど関心を示さないのに、父親や父親の恋人たちとは親密な関係を持っているわけですよ……」

親の心子知らずというか、カヨさんは自分がどれほど苦労して娘を育てたかをわかってほしいのかもしれない。

「昨年、父が亡くなり、妹も再婚して遠方に行ってしまい、今は母と私と娘の3人暮らし。私は恋愛もせずにひたすら働いてきて、社内ではそれなりの地位につきましたけど、人生、これでよかったんだろうかと思うこともあって」

自分だけが我慢してきたという思いがあるからなのか、身勝手に見える元夫に娘が懐き、さらに元夫の恋人とまで親しくしている娘が、内心、おもしろくないようだ。

「わかってるんですよ、心の狭い女ですよね、私。娘を育てたことにも離婚したことにも後悔はないんだけど、それでもなんとなくモヤモヤしてしまうんです。娘には『ママもこれから恋愛すれば? せめてなんか夢中になれる趣味でも持てばいいのに』と言われています。正論なんだけど、ちょっとせつない……」

カヨさんはそう言って苦笑した。40代、まだまだこれからだと周りに言われるたびに、「私は人より長く生きている気がする」とカヨさんは思うのだそうだ。

「娘が成人して、ほっとしたんでしょうね。心身ともに少し疲れているのかもしれません」

人の心は止められない。娘が父親に会うことも、その恋人たちと仲良くすることも。わかっているからこそ、カヨさんはひとりでモヤモヤを抱え込んでいるのだろう。
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