PTAは本来、入会してもしなくてもいい任意参加の団体なのだが、いつしか入会しているという場合もあるようだ。その地域の慣習によるところが大きい。
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ワーママ嫌い? PTAで板挟み状態に……

PTA活動で大きなストレスを感じていると涙目で話してくれたのは、ナオコさん(40歳)だ。結婚して12年、10歳、7歳、4歳と3人の子を持ち、独身時代から働く職場で、時短勤務として仕事をしている。

「友人の話を聞いても、うちのPTA、少し特殊だと思うんです。会長は男性なんですが、副会長に強烈な女性がいまして(笑)。この副会長が、働くママが大嫌いみたい。私と一緒に役員をやっているサオリさんという女性は、バリバリのキャリアウーマン。会合のときも『それは非効率的ですね』『この議題はくだらないと思います』などとはっきり言ってしまうタイプなんです。副会長からみると、サオリさんと私が同じタイプに見えるんでしょうね。うちは3人も子どもがいるし、本当に子どもが発熱して会合に参加できないこともあるんですが、『また、サボってるのね』と公に言われてしまうんです」

さらにサオリさんは、役員就任後、3カ月もしないうちに「子どもが熱を出した」「出張で行かれない」といろいろな理由をつけて会合に出てこなくなった。他の役員が連絡をしても、「私が出張に行かないと仕事をクビになるかもしれない。そうしたらあなたたちが責任をとってくれるんですか」と好戦的だという。

「そんなサオリさんと私が同列視されるんです。彼女が会合に出てこなくなってから、私がみんなから無視されるようになりました」

出席しても意見を求められることもなく、何か言ったとしても誰も反応しない。典型的な「いじめ」の構図である。

「会長は温厚ないい人ではあるんですけど……PTAの会合はすべて副会長が仕切る。あげく感情的になって怒鳴ったりするので、帰りにはあちこちで『今日もすごかったね』とこそこそ声が聞こえてくるほど。だけど私が無視されていても助けてくれる人はいない。みんな副会長に睨まれたくないんですよね」

大人の社会の嫌な面を、ナオコさんはこれでもかと思い知らされた。
 

反論を試みたら「無視」されて

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一時期、サオリさんほどではないが反論を試みたこともある。

「感情論ではなく、子どもたちのためにもっと有意義な議論をしませんかと言ったんですが、『あなたはどうせ自分のことしか考えてないでしょ』と一刀両断されました。何を根拠にそうおっしゃるんですかと言ったら無視。もっとパパたちも参加してくれるといいんですが、なかなか男性は来てくれないんですよね」

それでも会長が気を利かせたのか、ナオコさんと副会長の間に入って調整してくれることも出てきた。

「ただ、会長も副会長には逆らえないみたいで。『そのうちなんとかするから、今は我慢してくださいね』とも言われました。そのうちって、ずっとそうやってきたからこういう状況になったんでしょうと言いたかった。一時期は本当に私、心が常にざわざわして、子どもたちに八つ当たりするくらい気持ちが乱れていました」

夫が見るに見かねて居酒屋につれていってくれたこともある。ストレスを抱えているとよくないからと言った夫の前で、彼女は泣き続けたそうだ。

「夫には『真に受けるな』と言われるんですが、それはもう私の性格上、無理なんですよね。軽く流すことができない。夫が行けるときは代わりに行ってやるよと言ってくれたので、少しだけ気が楽になりました。夫の働きかけで、パパたちの参加が増えれば少しは変わっていくかもしれないけど」

そう言いながら、ナオコさんは目に涙を浮かべた。よほどのストレスがあるのだろうと想像できる。

PTAはシステム上、いつでも退会できる。退会しますと言ってしまう手もある。それによって子どもに不利益が生じるわけでもないはずだ。

「ことを荒立てたくはないんです。年度が替われば役員は辞めます。でも私のあとに入った人が同じような思いをするなら、今のうちになんとかしたいとも思って……」

彼女の率直でまじめな人柄が評価されるのは、現状のPTAではむずかしいのかもしれない。
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