Q:遺族共済年金と遺族厚生年金、何が違うの?
「公務員が亡くなったときにもらえる遺族共済年金と、会社員が亡くなったときにもらえる遺族厚生年金、何が違うのですか?」(会社員)会社員と公務員の遺族年金の違いとは
A:遺族共済年金には、職域年金相当部分が上乗せされることになります
公務員と会社員は、同じ雇用される労働者ではありますが、公務員は共済年金、会社員は厚生年金と年金制度が異なっており、「官民格差」として問題視されていました。2015年(平成27年)10月1日に「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が施行され、公務員や私学教職員も厚生年金に加入することになりました。遺族共済年金は、2015年10月の一元化前に共済組合員(公務員など)が死亡した場合に遺族が受け取れる年金です。一方で、一元化前の共済年金に加入歴があったとしても2015年10月以降に死亡した場合は、遺族が受け取れるのは遺族厚生年金となります。遺族共済年金を受給できる遺族の範囲や順位、生計維持関係の要件などは、一元化後の会社員の遺族厚生年金と、ほぼ違いはありません。
遺族共済年金は、次の要件のどれかに当てはまるときに受け取れます。組合員とは公務員本人のことを指します。
【1】組合員が死亡したとき
【2】組合員であった間に初診日がある傷病により、退職後、その初診日から5年以内に死亡したとき
【3】障害共済年金(1級、2級)の受給権者または障害年金(1級~3級)の受給権者が死亡したとき
【4】組合加入期間が25年以上の人、もしくは退職共済年金などの受給権を持つ人が亡くなった場合
一方で、遺族厚生年金は、次の要件のどれかに当てはまるときに受け取れます。
【1】厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
【2】厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
【3】1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
【4】老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
【5】老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
遺族厚生年金についてですが、【1】および【2】は保険料納付要件があり、【4】と【5】については保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合わせた期間が25年以上ある人に限ります。
遺族共済年金、遺族厚生年金の被保険者期間がもし、被保険者期間が300カ月(25年)未満の場合は、300カ月とみなされます。
以上のように、遺族共済年金をもらえる要件と、遺族厚生年金をもらえる要件は大きく変わりません。しかし遺族共済年金の年金額には、下記の計算式のように「職域年金相当部分」が加算されます。
遺族共済年金額=厚生年金給付額相当額(平均標準報酬額×給付乗率/1000×組合加入期間月数× 3/4)+職域年金相当部分+(要件に当てはまる人は、中高齢寡婦加算)
遺族厚生年金の年金額の計算式には、「職域年金相当部分」がないため、同じ平均標準報酬額なら、遺族共済年金に比べて年金額は少なくなるということになります。
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監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)