亀山早苗の恋愛コラム

「有名企業」に入っただけで満足していた私、「愛人生活」を続けながら夢を掴み取った友人

思い通りにいかないから人生はおもしろい。だが同じ理由で人生はつらい。自身と友人の人生を振り返って、「これからがんばろうと思う」と話してくれた女性がいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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思い通りにいかないから人生はおもしろい。だが同じ理由で人生はつらい。自身と友人の人生を振り返って、「これからがんばろうと思う」と話してくれた女性がいる。
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「愛人」となった友人を批判

「いやあ、本当に人生はわからない。この年齢になって実感しています」

そう言って苦笑するのは、フミカさん(40歳)だ。人生の折り返し地点に立ち、これから心機一転がんばろうと思っているところだという。

「つい先日、昔仲良くしていた友人に偶然、再会したんです。彼女とはあることで不仲になっていたんだけど、その後の話を聞いて、いろいろ思うところがありました」

フミカさんと、その友人・ルリさんとは大学時代のサークル仲間だった。卒業後、フミカさんは有名な大企業に入社したが、ルリさんは就職に失敗、アルバイト生活を強いられていた。

「彼女が心配だったのですが、就職した年の秋頃に会ったら、妙にいい洋服を着ているんですよ。どうしたのかと聞くと、生活のめんどうを見てくれる人がいると。いわゆる愛人みたいなことをしていたようです。やがて相手はふたりになった。恋愛なのかそうでないのか、そんなことをしていて恥ずかしくないのかと私はさんざん彼女を責めました」

ルリさんは「結婚したら生活費を出してもらうでしょ。それと一緒」としれっと答えた。その言葉がフミカさんを激怒させた。

「結婚して妻になるのと、妻の目をかすめて愛人になるのは違うでしょと。彼女が自分をないがしろにして男のために生きているように見えて、腹が立ってたまらなかった」

ルリさんは「フミカは自分が望んだ仕事に就けたから、そういう余裕の発言をするのよ」と寂しそうにつぶやいたという。それきりふたりの音信は途絶えたが、共通の友人から、たまにルリさんの噂は聞いていた。

「いろいろな噂が飛び交っていて、結局、正しい情報が入ってきたわけではありませんけど……。その後、私はというと、会社での人間関係につまずき29歳で退職。すがるように社内の先輩と結婚したものの、彼のモラハラがひどくて4年で離婚。体調が優れなかったので、その後は近所のスナックでアルバイトをする生活。そこで知り合った男性から、ずっと生活を援助してもらっていました。そのとき、ルリを責めた自分を思い出したんです」
 

やりたいことに邁進した友人

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一方、ルリさんはというと、今は小さいながらも会社を経営する身になっていた。

「彼女、20代はほぼ愛人生活だったようです。でも質素な生活をしてせっせとお金をため、人脈を駆使して5年前に会社を設立したんだそう。専門知識を身につけるためにずいぶん努力もしたみたい。地道にがんばってるよと笑っていました。今も独身だけど信頼できるパートナーはいるって。有名企業に入っただけで満足していた私とは違う。彼女には心から謝罪しました。あのときは許せないと思ったけど、私だって生活に困れば、たいして好きでもない人に頼っているのだから」

ルリさんは、「お金がないってつらいよね」と目を潤ませた。実はルリさんは大学の学費も出してくれた人がいるのだという。

「大学2年のときに父が亡くなって学費を払えなくなったの。父の友人だという人がお金を出してくれたけど、それなりの代償は求められた。ひどい男だよね。でも私はどうしても大学に残りたかったし、長い人生を考えたら、ここで代償を払っても取り返してやると思っていた」

ルリさんは涙ながらにそう話した。

「それを聞いて、私はなんてぼんやり暮らしてきたんだろうと思いました。ルリのしたことが良かったか悪かったかはわからない。でも彼女は自分なりの判断で人生を歩んできた。他人がとやかくは言えないと感じました。私もこのままでいいとは思っていない。きちんと自分の人生を考えなくてはと」

その後、フミカさんは“愛人”を脱却。偶然にも彼から「妻にバレかけている。別れてほしい」と言われたという。彼からの最後のプレゼントは、知り合いの会社への紹介だった。

「小さな会社ですけど、社長がものすごくいい人で営業として雇ってくれました。スナックのママもお客さんも応援してくれています。週に2回はスナック勤めも続けているので、なんとか生活はできている状態。通信教育で勉強も始めました。ルリにそれを伝えたら、すごく喜んでくれて、『私たち、まだまだこれからだよ』って。30代は会社を辞めたり結婚したり離婚したり、迷いと葛藤だらけでした。でもこれからが自分の人生だと思うことにしたんです」

腹をくくったフミカさんは、生き生きとした表情でそう言った。自分の人生を自分で歩く。そう決めたところから、本当の人生が始まるのかもしれない。
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