中高年女性を悩ませるセクハラ……デリカシーのない発言も

微笑む女性

ホルモンのことや結婚や子育て、余裕の有無や見た目のこと……。他人に安易に批評されて「セクハラ」と感じている中高年女性は少なくありません

セクシュアルハラスメントは、性的な興味や偏見にもとづく言動による差別行為ですが、被害に遭うのは「若い女性」と思っている方もまだまだ多いかもしれません。しかし実際には、性別も年齢も問わず被害に悩むことがあります。
 
なかでも見逃されやすいのが、中高年の女性を無自覚に揶揄するタイプのセクハラです。女性ホルモンの減少や体の変化、それまでの人生などに絡めたステレオタイプな偏見やデリカシーのない思い込みは、本人を深く傷つけ、周りも不快に感じるような差別的発言につながります。

今回は、カウンセラーの筆者がご相談を聞くなかで、中高年女性当事者や周りの人が不愉快になったセクハラ発言で、よくあるものとその問題点を解説します。
 

1. 「更年期障害?」「女性ホルモンが減ったせい?」

更年期から閉経後には女性ホルモンが急激に減少していくため、以前は女性ホルモンの恩恵で保たれていた体の機能に影響が表れ、不調を感じやすくなります。同時に、情緒にも影響が表れてイライラや憂うつなどの変化が生じやすくなることもあります。
 
こうした現象について素人考えで安易に批評され、「最近イライラしているけど、更年期障害なのかな?」「あの年齢になると、女性ホルモンが少なくなるからじゃない?」などと他人に噂されていることを知り、とても傷ついたという女性は少なくありません。
 
女性ホルモンは、女性の性機能にかかわる大切な体内物質です。その作用について他人がとやかく言うことは「性的な発言」にあたります。絶対に控えるべき発言です。
 

2. 「結婚してないから」「子育て経験がないから」

幸せな生き方は人それぞれですが、「女性の幸せ・充実感=結婚」「女性の能力=子育て経験」といった無意識の偏見があると、「あの人は結婚してないから○○だ」「子育て経験がないから○○なんじゃない?」といった発言を生むことがあります。
 
人の人生は多様であり、結婚や子育ての経験が仕事や生活にプラスに影響することもあれば、そうでないこともあります。「女性の充実感」や「女性の能力」が、結婚や子育てとイコールであるとは決めつけられません。
 
同様に既婚女性や婚姻歴から「だんなさんとうまくいっていないんじゃない?」「離婚しているから」といったことを、その人の生き方や働き方などと結びつけて批評するのも、大きな偏見です。
 

3. 「〇歳だから余裕がなさそう」「〇代なのに痛い」

人は、加齢と共に失うものもあります。若いころに維持していた健康や体力もそのひとつでしょう。仕事の責任や家族の問題、お金の心配、将来への不安など、年齢と共に対峙しなければならない問題も増えてきます。
 
こうしたことが重なるなかで、傍からは余裕がなく見えることもあるかもしれません。だからといって、年齢や抱えていることを理由に「痛い」などと評されるのは、たとえ近しい間柄でもとても失礼なことです。「加齢により魅力を失っている」と言われているのと同じように受け止められてしまう言葉です。
 

4. 「顔つきが怖くなった」「暗い感じがする」

加齢は容姿に大きく影響を与えます。額や眉間、ほうれい線のしわが深くなり、まぶたやほほのたるみが大きくなったりすると、普通にしていても不機嫌そうに見えることもあります。顔まわりのシミやくすみが増えると、全体的に暗い印象を与えてしまうこともあるでしょう。
 
また、加齢は体形にも影響を与えます。基礎代謝量が低下することで、若いころのようなスリムな体形を維持するのは難しく感じる方が多いものです。筋力の衰えから前傾姿勢になり、疲れて見えることもあるでしょう。
 
こうした見た目の変化もまた、本人の努力だけでは対処しにくい問題です。他人が安易に批評をすることは、重大な差別発言につながります。
 

無自覚な「加齢への偏見」を見直すことが大切

以上のようなことは、中高年の女性が年齢を重ねるなかで自然に変化していく現象です。これらについて、他人から批評されたり、噂されたりすることは、当人にとって非常に不愉快なことです。また、その発言を聞いた周囲の人も嫌な思いをし、デリカシーのない発言だと思われます。

また、こうした中高年女性を揶揄する言葉は、異性から発せられるものとは限りません。女性同士の何気ない会話のなかで聞かれることも少なくないものです。
 
人はだれしも年齢を重ねながら社会に参加し続け、たくさんの人とかかわって多様な活動をしています。だからこそ、他人の加齢が関係する現象について安易に口にし、人を傷つけたり、周りに不愉快な思いをさせたりしないように十分気をつけなければなりません。そのためにも、まずは私たちが無自覚のうちに持っている可能性のある「加齢への偏見」から、見直していくことが必要なのだと思います。
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