夫婦の「価値観」に関する悩みはいろいろ
長引くコロナ禍で、健康への向き合い方や働き方など、私たちの日常生活はじつにさまざまなことが変化しました。夫婦関係もそのひとつ。人生を見つめ直す機会が訪れたことで、夫と妻それぞれの価値観の違いが浮き彫りになったケースも多いのではないでしょうか。最近、とくに増えている夫婦問題の相談のひとつに「夫の(あるいは妻の)言動がガマンできなくなった」というものがあります。ステイホームの影響もあり、夫婦が一緒にいる時間が増えたことがきっかけで、相手にイライラすることが多くなったというパターンです。
では、具体的にどんなことが理由でお互いの価値観のズレを感じてしまうのでしょうか?
今回は、夫婦問題の原因となる夫婦間の価値観のズレについて、よくあるお悩みのトップ3と価値観をすりあわせるための考え方のヒントをご紹介します。
価値観のズレ1「お金」
コロナ禍であらためて人生が有限であることに気づき、「これからどうやって生きていきたいか?」と考えたときに欠かせないのがお金の問題です。夫婦で蓄えてきたお金は、「オレが稼いだお金」「働く夫を支えてきた私のお金」といったどちらか一方のものではなく、夫婦ふたりのお金です。だからこそ、どちらか一方がお金に執着していたり、ふたりの考えるお金のつかい道にあまりにもギャップがありすぎたりしているとぶつかることも少なくありません。
「とりあえず今は困っていないから大丈夫」などとお金の問題をふたりで話し合うことを先送りにしている夫婦もいるようですが、お金はこれからの生き方に大きくかかわってくる話であることはたしかです。コロナ禍をきっかけとして、お金に対する価値観のズレをすり合わせることができるかどうか、「やりたいこととその目的、それにかかる費用」について夫婦で詳しく話し合ってみるのもおすすめです。
価値観のズレ2「子ども」
ビフォーコロナと現在を比べ、子どもの教育問題について意見が変わったという声も聞こえてくるようになりました。以前は、「公立でのびのび育てたい」と言っていた人が「オンラインなど環境が整っている私立で学ばせたい」と変わったケースもありますし、「絶対に大学まで進学させたい」と話していた人が「早めに手に職をつけて生きていってほしいから専門学校という選択肢をすすめた」と方向転換したケースもあります。ウィズコロナの時代を迎えるにあたり、夫婦で子どもの教育に対する考え方が変化した、ということでしょう。
夫婦間で価値観のズレが生まれてしまうのは、「かけがいのないかわいい我が子に、幸せになってほしい」という、共通したお互いの思いがあるからこそ。対立した感情ではなく、同じ気持ちから出発していることを念頭に、「進学の選択肢についてのメリットとデメリット」を挙げて、もう一度しっかり話し合ってみましょう。
価値観のズレ3「食事」
ステイホームが習慣化し、夫婦で一緒に食事をする機会が増えることで生じるのが、「食生活の不一致」です。ささいなことかもしれませんが、食事は毎日のこと。避けては通れない大切な習慣だからこそ、意外とやっかいなテーマにもなるものです。「和食派か、洋食派か?」というような、食の好みに関する話ならさほど大きな問題にはならないことが多いもの。なぜなら、状況に応じてお互いの好みを優先させたり、両立させたりできるからです。
問題は、「料理をするのが苦手」「つくった料理が美味しくない」「料理に文句をつける」といった、食事をすることがつらくなるようなネガティブな事態です。これらのことは、お互いの長年の習慣や考え方、性格によることも影響するため、一朝一夕では変えられないのも事実。「だったら、料理しないから」「それならもう食べないよ」などという最悪の展開を招くことにもなりかねません。そうなる前に、「どんな方法ならお互いが満足して食事を楽しめるか?」を課題に、夫婦でいろいろ提案をしてみるのも手です。
これまでスルーできていた日常生活のささいなことが、コロナ禍で状況が変わり、看過できなくなって問題化することもあります。お互いの価値観をガラリと変えることはできなくても、少しずつすり合わせていくことならできるはず。コロナという敵に、夫婦で力を合わせて乗り切っていきましょう。