衆議院議員選挙とは何なのか、何を決める選挙なのか、選挙結果次第で社会の何が変わるのか、今ひとつわからない人も多いと思います。今回はそのような人のために、超基本情報をわかりやすく説明します。
「衆議院」と「衆議院選挙」とは
まず、衆議院とは何でしょうか。日本では、新しく法律を作ったり、国民から集めた税金をどう使うかを決めたりするために、国会で話し合いが行われます。でも、国民全員が国会に集合することはできないですよね。そこで、国民が自分たちの代わりに国会で話し合いに参加して意見を述べてくれる人を選ぶのです。そのことを選挙といいます。話し合いが行われる国会には、衆議院と参議院があります。衆議院と参議院を置くことで、両院の間でも話し合いが行われます。もし、衆議院と参議院のどちらかひとつしかなければ、そのひとつの院だけの話し合いで極端な意見が採用されるかもしれません。しかし2つの院を置き、両院の間でも話し合いが行われることで、意見が極端にならないように慎重な議論ができるのです。
衆議院の選挙は、「総選挙」とも呼ばれます。総選挙という言葉は、アイドルグループ・AKB48のイベントや、レストランメニューやお菓子などを視聴者の人気投票によってランク付けするテレビ番組でもよく使われていますよね。総選挙というのは、衆議院の議員全員を一気に選び直すので、「総」選挙というのです。一方、参議院議員は3年ごとに議員の半数を選ぶので、総選挙とは言わず「通常選挙」といいます。
衆議院選挙によって決まること、変わること
ところで、国会の衆議院と参議院、実は対等の関係ではありません。衆議院と参議院、それぞれで決めたことが反対だったらどうなるのでしょう。これは、衆議院で決めたことが、国会の決めたことになるのです。小中学校で「衆議院の優越」と教わったのを思い出した方もいるかもしれませんね。なぜ、衆議院で決まったことが優先されるのかというと、衆議院の方が参議院よりも議員の任期が短く解散することもあるので、最近の国民の意見がより反映されていると考えられているからです。衆議院議員は「代議士」とも呼ばれます。これは、国民の「代」表が「議」論するということからきているのです。
国会では、法律を決めて、集めた税金を何にどれくらい使うかを決定し、内閣総理大臣を指名するという、大きな役割があります。内閣総理大臣は、国会議員の中から選ばれて、国会の話し合いで決められて指名されます。このとき、衆議院と参議院が異なる議員を内閣総理大臣に指名することがあります。この場合、先ほどの「衆議院の優越」というルールにしたがって、衆議院で決まった議員が内閣総理大臣になるのです。
内閣総理大臣が決まると、内閣総理大臣が大臣を任命して、内閣というチームを作ります。内閣は、国会で決まった法律や予算にもとづいて、政治を進めるのが役割です。
国会で決まったことを内閣が実行に移し、その国会では衆議院と参議院の両院があって、その両院では衆議院が参議院よりも力を持っている、ということは、衆院選は、日本という国の方向性を決める大事な選挙ということになります。
若者が投票する意味
日本は2007年に超高齢社会に突入し、さらに勢いを増してますます高齢化が進んでいます。そうなると、選挙に立候補した人は、人口の割合が大きい高齢者に選んでもらうために、高齢者が喜びそうな政策を掲げます。実際、高齢者の年金や介護の予算は年々増えています。するとその予算を確保するため、働く人が負担する税金が高くなっていきます。このように、若者の負担が増えて、子供が減り、さらに高齢化が進むという悪循環になっているのが日本の現状です。子供たちや、労働から引退した高齢者を支えるには、現役の社会人が生き生きと働いて、幸せに生活できる日本にしていく必要があります。
ただ残念ながら、若者層の投票率は非常に低いのが実情です。2017年の衆院選では、60代の投票率は72.04%なのに対して、10歳代は40.49%、20歳代は33.85%、30歳代は44.75%でした。若者の投票率が低い理由は「選挙への関心のなさ」です。
でも、だからこそ投票することをおすすめします。「関心がないから投票しない」のではなく、「投票しないから関心が持てない」といえるからです。1票を投じることによって、自分が投票した人にはどれくらい票が入ったのか、どんな人が当選したのだろうと、選挙結果に関心が生まれるはずです。そのような人がひとりでも増えていくことが、若者の生活が向上する第一歩なのです。