50代が投資デビューで失敗しないためのルール
50代になると子育てが一段落して、定年後の生活も視野に入ってきます。コツコツ貯めてきたお金を投資にまわして、老後資金に備えたいと考えている人も多いのでは? 50代が投資デビューで失敗しないためのルールを『マネープランクリニック』でおなじみのファイナンシャルプランナー深野康彦さんに伺いました。50代の投資デビュー。失敗しないためのルールとは?
1. 手元の現預金は多めに確保。今はとにかく慎重に行動すべし
新型コロナの影響で、毎月の収入やボーナスが減ってしまった人も多いことでしょう。ひと昔に比べて、景気が悪くなった時にわたしたちの勤労収入が受けるマイナスの影響がより大きくなっている気がします。こんな時だからこそ、余裕資金、つまり手元に持つ現預金を多めにして、慎重に行動してほしいです。株や投資信託が値下がりした時に、余裕資金がなければ生活のために損切りして現金を捻出しなければなりません。資金に余裕があれば、また景気がよくなるまで保有しつづけて、株価が回復するのを待つことができます。つまり現預金をしっかりと確保することが、投資で元本割れを回避するための保険になるのです。
2. 住宅ローンがあるなら、投資の前に繰上げ返済をすべし
50代で住宅ローンを抱えている人は、仮に1000万円もの資金があるならば、繰上げ返済を優先すべきです。特に60歳を過ぎても住宅ローンが残ってしまう人や、ボーナス月払いをしている人は、投資を検討している場合ではありません。必ず繰上げ返済をしましょう。パーソル総合研究所の調査によると、定年後の再雇用者の年収は平均で定年前の約44%減少していたそうです。今の半分程度の収入で住宅ローンを返済し続けていくのは非常に厳しいでしょう。また、定年後の再雇用では、ボーナスがもらえるケースは少ないですし、ましてや年金にボーナス月はありません。
運用して増やすことだけではなく、マイナス資産を減らしておくことも立派な老後のお金の準備です。負債がある人は50代のうちに繰上げ返済をして、60歳以降に出ていくお金を減らしておきましょう。
3. 株・ETFを買うなら時間分散と銘柄分散をすべし
1000万円が余裕資金なら、投資に挑戦してみましょう。50代以上の方に特にお伝えしたいのは、「時間分散」と「銘柄分散」が大切だということです。人生100年といわれている時代ですから、50代でもまだまだ若いうち。いまから運用したお金を、70代以降の老後資金にするつもりでじっくりいきましょう。まずは「時間分散」。コツコツ貯めてきた大切なお金を一度に投資してはいけません。1~2カ月で資金のすべてを投資する必要はないのです。今は非常にマーケットの動向が読みにくい時期ですので、株価の大きな調整があるまで投資しないなど、様子を見ながら慎重に投資していきましょう。
ただし、積立投資ならいますぐに初めてもOKです。少額ではじめるのなら、これまで続けていた預貯金の積立の一部を積立投資にまわしてはどうでしょうか。毎月2万円積立貯蓄をしていたのなら、そのうちの1万円で積立投資をはじめるのです。マネックス証券、楽天証券、SBI証券などのネット証券ではなんと、毎日積立の設定ができます。たとえば月々の投資総額が1万円になるよう、毎日少額ずつ自動的に投資してくれるのです。これは究極の時間分散と言えるでしょう。
「銘柄分散」の基本は、製造業と非製造業、外需と内需など、値動きが一緒にならない銘柄に分散して買うことですが、いきなり個別株を選ぶのは難しいと思ったら、市場全体に投資できるETF、少額なら日経平均やTOPIXに連動する投資信託を買ってみましょう。
迷ったらまずは少額の積立投資からはじめて、市場の値動きに慣れてみてください。あせらず、慎重に、少額から。50代ならではの、大人の投資を楽しんでいきましょう。
監修/深野康彦(ファイナンシャルプランナー) 取材・文/長島美樹
【関連記事をチェック!】
10万円・100万円・1000万円の預け先。安全運用で金利200倍も!
10万円からの投資、迷ったら「地銀株」に注目しよう! 平均配当利回り4%超も