友達は多ければいい……わけではない!
友達は多ければいい……は正しいの?
「友達をたくさん作ることはいいことだ」という通説はありますが、実際はどうなのでしょうか。結論を先に言ってしまうと……「多ければいいわけでもない」です。
たとえば、会場に100人の人がいたとします。みんなと気が合うなんて人は、まずいないでしょう。もちろん、みんなと上手に会話をできる人はいますが、相手に合わせたり、気を使ったりしながら、上手にコミュニケーションをとっているにすぎません。だから、そんな会話は、楽しいというよりも、疲れることのほうが多いものです。
本当の友達というのは、どういう存在かといえば、無理をしなくても一緒にいると楽しくて、心地よい相手のことです。そして、お互いに、相手の幸せを願えるような関係です。それは、ある意味、“プラトニックラブのような関係”といっても、過言ではありません。人として惚れないと、本当の意味での深い友情は築けないところもあるのです。そんな濃い関係の相手が100人いたらどうでしょうか……身がもたないこともあるでしょう(苦笑)。
だから、大人の「友達が多い」というのは、言い換えれば、「人脈が広い」というだけのことで、本当の友達だというわけではないことも多いもの。「友達が多ければいい」という以前に、本当の意味で「“真の友達”をたくさん作るのは難しい」ということは、理解したほうがいいでしょう。
それに、世の中、良い人ばかりではありません、人を利用しようとする人だっています。だから、むしろ「友達になる人は、選んだほうがいい」のです。
結局、子供のころに言われていた「友達をたくさん作りましょう」は、「みんなとクラスメイトの仲間として、気を使いながら、仲良く付き合っていきましょう」という意味に過ぎません。つまり、子供にわかりやすく伝える表現が「友達をたくさん作りましょう」であるに過ぎないだけだと思うのです。
豊かな人間関係を築くには「友達を作ること」より「自立すること」
では、豊かな人間関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか。その方法は「友達を作ること」と真逆だと思われやすいことですが、「自立すること」です。自分の快適さのために、相手を利用しようとしないこと、依存しすぎないことは、良い友情を築くために重要なことなのです。
自分で自己を楽しませたり、幸せにしたりできない人は、自分の快適さのために友達を利用しようとしがちです。そうすると相手を束縛したり、コントロールしたりしてしまうこともあるでしょう。それではいい関係は築けません。また、「相手には相手の幸せがあり、自分には自分の幸せがある」と思えないと、自分の価値観を相手に押し付けてしまうこともあります。
どんなに気が合っていても、「どんなことも価値観が合う」なんてことはないので、価値観の違いすらも面白がれるような人でいたほうがいいもの。そのためにも、相手と同化しすぎないで、「程よい距離感を保つ」ことが必要となるのです。
「親しき仲にも礼儀あり」というように、どんなに親しい友達であっても、礼儀を持つことは大切です。距離感が近すぎてしまうと、大抵、人間関係は壊れてしまうことが多いもの。特に年齢の近い同性同士は、お互いを比べ合い、嫉妬してしまうこともありますしね。
だから、本当の意味で、長続きするような真の友情を築くためには、ある程度、「精神的に成熟すること」が大切であり、そんなに簡単な話ではないことも多いのです。それこそ、一般的に“友達が多い人”としてイメージするような、「たくさんの友達に囲まれ、お互いに近い距離感で支え合うような関係」は、意外と脆く、現実的ではないことが多いのです。
「友達」の意味は、広い
もちろん現実的に、たくさんの友達は作れなくても、人脈が広いほうがいいこともあります。それにたとえ「知り合い」であっても、「友達」だと思っていたほうが、お互いに気分はいいものです。つまり、「友達」と呼んでいても、“真の友達”とは限らず、「知り合いの延長」だったり、「利害関係が一致しているときだけ関わる関係」だったり、実際はとても広い意味でこの言葉が使われている、ということなのです。
だから、世の中には、「私には友達がいない」と、劣等感を抱いている人もいますが、「友達をたくさん作ることはいいこと」なんて言葉に惑わされないほうがいいでしょう。「真の友情は、そんな簡単な話ではないんだ」ということは理解しておくことは大切。人生において、1人か2人、真の友情が築ける人ができたら、上出来です。もし、そんな友達がいる人は、大切にしましょうね。