生命保険

激動の1年!2020年度の生命保険会社42社の年換算保険料とソルベンシー・マージン比率

生命保険会社の2020年度の決算内容が各社から発表されました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく表れていますが、保険会社によっては好業績もあります。今回は生命保険各社の年換算保険料とソルベンシー・マージン比率に着目してみました。

松浦 建二

執筆者:松浦 建二

医療保険ガイド

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生命保険会社の2020年度の決算内容が各社から発表され、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく表れているものの、保険会社によっては好業績もあります。今回は「新契約の年換算保険料」「保有契約の年換算保険料」「ソルベンシー・マージン比率」で生命保険会社の業績を確認します。
 

新契約の年換算保険料は18社がプラス、22社がマイナス

年換算保険料とは、1回あたりの保険料を支払方法に応じた係数を乗じて1年あたりの保険料に換算した金額のことです。わかりやすく大ざっぱにいえば、保険会社が加入者から受け取る保険料総額のことです。

2020年度の新契約の年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)を多い順に並べてみました。表の赤字は順位を上げた保険会社、青字は下げた保険会社です。この原稿を書いた2021年6月25日現在、FWD富士生命の決算発表がないため、記事ではFWD富士生命を除いた41社の決算内容になっています。
年換算保険料,新契約

生命保険会社の年換算保険料(新契約)

新契約の年換算保険料が最も多いのは日本生命で2099億円となっています。前年度(2019年度)が2504億円なので前年度比16.2%減、前々年度(2018年度)が3112億円なので2年間で1013億円も減っています。それでも2番目に多い住友生命(949億円)の2倍以上あります。前年度1472億円で2番目に多かったかんぽ生命は306億円で79.1%減、前々年度は3515億円で最も多かったですが、不適切募集による営業自粛の影響が大きく、2年経って10分の1以下になってしまっています。

その他では、メディケア生命が165億円で前年度の3倍強に急増し、クレディ・アグリコル生命も2.5倍に急増しています。ソニーライフ・ウィズ生命は逆に97.8%減ですが、2021年4月1日付でソニー生命に吸収合併されています。

2019年度では、新契約の年換算保険料が1千億円超の生命保険会社は6社ありましたが、2020年度は1社しかありません。しかし、100億円超でみると29社で前年度と同数です(FWD富士生命を除く)。また、前年度比では18社がプラス、22社がマイナスとなっています。対面による保険募集が多かった保険会社にとっては厳しく、少なかった保険会社にとっては逆に追い風になっているようです。新型コロナウイルス感染症の影響をどのように受け、どのように対策を講じたかで、業績に差が出たのでしょう。
 

保有契約の年換算保険料は上位6社がそろって前年度比マイナス

次に保有契約の年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)を多い順に並べてみました。
年換算保険料,保有契約

生命保険会社の年換算保険料(保有契約)

保有契約の年換算保険料が最も多かったのも日本生命(3兆7382億円)で、前年度より0.6%減っています。0.6%だとわずかなように感じますが、236億円の減少なので非常に大きな額です。2番目のかんぽ生命(3兆1972億円)は前年度(3兆5566億円)から3594億円(10.1%)も減っています。3番目以降は住友生命(2兆2866億円)、明治安田生命(2兆1952億円)、第一生命(2兆769億円)、アフラック(1兆3849億円)の順になっていて、ここまでの6社はいずれも前年度に比べて減っています。

保有契約の年換算保険料が前年度に比べてプラスなのは25社、マイナスなのは16社で、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた1年でしたが、想像していたよりは持ちこたえられたのではないでしょうか。特に目立って増えているのが、はなさく生命(225.8%)やメディケア生命(133.0%)等で、比較的新しく小さな保険会社の伸びが目立っています。
 

ソルベンシー・マージン比率は全社500%以上

最後にソルベンシー・マージン比率を、比率が高い順に並べてみました。ソルベンシー・マージン比率は生命保険会社の健全性を確認する指標の一つで、保険金等の支払余力がどのくらいあるかを表しています。比率は高く安定している方が良く、参考までに前年度(2019年度)と前年度からの増減、前々年度(2018年度)も載せておきました。単位はパーセントで表記しています。
ソルベンシーマージン比率

生命保険会社のソルベンシー・マージン比率

ソルベンシー・マージン比率を前年度と比べてみると、41社(FWD富士生命を除く)のうち20社が上がり、21社が下がり、見事に結果が割れました。最もソルベンシー・マージン比率が高かったのは、はなさく生命の17340.6%で、前年度からさらに3597.8%も上がっています。2番目はネオファースト生命の3688.8%で、前年度の623.1%から大きく改善しています。

ソルベンシー・マージン比率が前年度に比べて大きく増減している保険会社もありますが、どこも健全性の目安とされる200%は大幅に上回っており、最も低いクレディ・アグリコル生命でも544.9%あります。現状では、保険会社の経営状況を不安視する必要はないでしょう。


2020年度の生命保険会社の年換算保険料とソルベンシー・マージン比率を確認しました。生命保険会社の経営状況を確認するには、他にもいろいろなチェックポイントがあります。気になる人は保険会社の決算資料やディスクロージャー誌で確認してみてください。共済でも決算資料等があり、同じように経営状況を確認することができます。他の保険会社や共済と比べたり、過去との違いを比べたりしてみるのもよいでしょう。

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